まだ早い
「麗華ちーん、大丈夫ー？」
「大丈夫だよ。ごめんね、征十郎も敦もせっかく帰ってきたのにおもてなしできなくて」
「気にすることはない。嫁入り前の大事な女の子の身体だからな。優先すべきは麗華の方だろう」
あれから目が覚めた私はまだ少し痛みはあるけど、大分楽になった。ご飯も少しは食べれたし、良かった良かった。
おぶって運んでくれた火神くんは今日は泊まって行くみたいで今は順番でお風呂に入っているらしい。
みんなリビングのソファに座りながら私の身体の心配をしてくれる。
それにしても、征十郎てホントお父さんみたいなことサラっと言うよね。まあ確かに間違ってることは決してないけどさ、嫁入り前とか…ちょっと可笑しい。ふふ。
「普段もそんなに痛いのか？」
「んー、こんなに痛いのは初めてかも？」
「女の子は大変っスねー」
「そーよ、きーちゃん！」
「まこも？」
「真子もきっとこれから大変になるのだよ」
「…テツナも頑張ってくださいね」
「がんばります」
真太郎の膝の上に乗っていた真子ちゃんはお兄ちゃんの顔を見ながら不思議そうに首を傾けている。テツヤも何故か隣にいるテツナちゃんを応援している。
そっか…これから真子ちゃんにテツナちゃんも大きくなったら色んなこと知らなくちゃならないんだね。
「おれたちにはたいへんねーの？」
「あ"？知らねーよ」
「光輝も女の子とは違う大変があるよ、きっと」
「おれにも？」
「健にもだね〜」
未だ私の状況を掴めていないのか大輝は少し不機嫌なまま光輝くんに質問されたことを突っぱねた。それに見兼ねた征十郎が小さく笑いながら光輝くんに言う。
健くんも敦に言われて「そうなのか〜」と分かったような分かってないような返事を返していた。
まだ三歳だし、わかんないこと沢山あるよね。
時計を見るとそろそろ8時を回りそうなのでジュニアたちに声をかけてパジャマに着替えるように促す征十郎。
「おにいちゃんたちは？」
「これから大人の時間だから」
「ンだよそれ、お前まだ高1だろーがっ」
「ははは。そっスね」
征十郎が何ともカッコつけたように言ったが、何ともカッコつかなかった。大人、と言ったって私たちは確かにまだ高校一年生だし。義務教育をやっと終えたばっかりだし…
渋々と寝室に向かうジュニアたちを見送るとまたみんなでワイワイと話し始めた。先ほどお風呂からあがった火神くんも輪に入り、なんだか盛り上がった。
「火神が麗華背負ってたときはビックリしたぞ」
「確かにすっごい顔してたもんね、さつきに大輝」
「え、私も！？まあでもそれなりに驚いたしなー」
「君が麗華を連れてきてくれたのか、礼を言おう」
「お、おう…」
大輝とさつきが話している間は笑って聞いてたけど、征十郎が話し始めた途端に火神くんの顔は緊張を漂わせるように引きつっていた。でもそれもそうだとは思う。こんな喋り方で上から目線な高校生いないと思うし。
ましてや火神くんと征十郎なんて初対面に近いのに征十郎は堂々としている。そんな雰囲気に飲まれてしまったのか…
「ボクたち男からすれば失神する程の痛み、なんて言いますからね」
「そう言われると女の子は偉大なのだよ」
「出産とかねー」
「桃井っちは大丈夫なんスか？」
「あんまり痛む方じゃないかもなあ」
ここからは女子トークみたいな内容の話が炸裂した。男子は一生涯体験することのない生理や出産のことが気になるようで。想像もつかない痛みに首を捻って考えている。
実際、出産なんて私たちもまだまだ先の話なんだけどなー。
それから何故か恋愛の話に傾いたり、こないだのテストの点数を暴露して褒めあったり罵り合ったりする展開になって、今度はそれぞれの高校の話や先輩のことについての話題になったりした。
キセキの世代のバスケしてないただ普通の高校生の会話に火神くんは初めは戸惑っていたけどもう今となれば普通に混ざっている。男の子特有の話に脱線しかけたときは私とさつきは露骨に顔を引きつらせたり歪ませたりした。
そういう話に持って行くのは決まって大輝。だからそういう時には私とさつきで
「大輝(青峰くん)最低！」
と野次を飛ばしたりした。そしてそんな楽しい時間はあっという間に過ぎた。
「麗華っち明日も痛くなるんスか？」
「多分平気だと思うよ。私痛いの一日目だけだから」
「そうなんスか…」
11時を少し過ぎたところで今日はお開きになった。既にジュニアたちが寝てる寝室に行き、定位置についたところで隣の涼太に話しかけられた。
すると涼太は安心したように笑ってくれて布団に潜った。私も続いて布団に入り、眠りについた。
明日は、痛くなりませんようにー…。
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こないだまで生理痛に悩まされてたので、こな話をupしました。
いや、それにしても生理の話をしだすって変態か？変態なのか！？
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