004.女の子の日なの



※女の子の日ネタです。
苦手な方は閲覧を控えてください。



「んー…ッ」

「麗華?どうした」

「何でもないよー。私今日朝ごはんゼリーだけでいーや」

「珍しいな。お前が朝飯ゼリーだけって。腹壊したか?」


おはようございます。自分で言うのも何ですがいつも元気な私がイマイチ全開ではありません。原因は…まあ、大輝は合っても無いが強ち間違ってもいないということ。
と・に・か・く!今日はとんでもなくお腹が痛い…ズーンて下の辺りが重くてだるい。

いつもなら朝ごはんはたくさん食べて行くはずの私がゼリーだけなのはあまりにも不審である。今日の朝ごはん当番である真太郎の朝ごはん食べたいけど食べられない…
冷蔵庫からピーチ味のゼリー一つだけを手にとってみんなと同じテーブルに着く。


「麗華さん元気ないですね」

「んー、眠いだけだよー」

「ゼリーだけで足りると思わないのだよ」

「学校にちゃんと軽食持ってくから大丈夫ー」


定位置に着いて朝ごはんを食べ始めるみんな。これから朝練に向かうみんなはモリモリと体力つける為にたくさん食べる。
そんな中私は重たい手を動かしながら少しずつ口に運ぶ。そんな私を心配そうに気にしてくれるみんなの優しさに毎度のこと嬉しさを隠せない。

…だけど今回の生理痛は今まで以上に辛いかもしんない。こんなに痛いの久々かも。
朝からこんなんじゃホントに今日一日気が滅入るよ。

やっとの思いでゼリーを完食すると朝練へ向かう組と起きてきたジュニアたちが入れ替わりすれ違った。


「おにいがんばってっす!」

「ありがと勇太!行ってくるっス☆」

「おにいちゃんいってらっしゃいなのよ」

「ああ。行ってくるのだよ」


朝練へ向かうお兄ちゃんズにまだ起きたてで眠そうに目を擦りながら手を降って送り出す。私は重たい身体を椅子から離して真太郎が作ってくれたジュニアたちの朝ごはんを用意する。

今日はホントに何をするにもこの痛みが邪魔でしょうがない。薬飲んでから行かなきゃ学校もたんな、コレ。
テーブルに一通りお皿を並べてジュニアたちがおとなしく食べ始めるのを確認して救急箱の中から薬を取り出して飲む。


「麗華さん本当に大丈夫ですか?今日はあの日ですか?」

「え、テツヤよく分かるね。でもそんなに心配しなくても薬飲んだから安心よ」

「すいません、察してしまいました。それなら良かったです」


察してしまったことを後ろめたく思っているのか少し申し訳なさそうに笑って私の傍から離れたテツヤ。
でも確かに女の子の日だとお察しされてしまうと恥ずかしいかもしれない。
でもこういうことに取り分け疎そうなテツヤが一番に気が付いたのはビックリかもしれない。

朝練に出発したテツヤを見送ってから洗濯物を干していたりジュニアたちの着替えを手伝っていたりすると薬を飲み終えてから一時間が経とうとしていた。すると効果が出てきたのか痛みも薄くなり身体が軽くなった気がしている。
私たちも家を出る時間になるとズーンとした重たい痛みもほとんどみえなくなり、いつもの私に戻った気がした。


「麗華、さっきおなかいたかったのか?へいきか?」

「そーなんですか?麗華さん」

「麗華っちだいじょうぶすか?」

「うん、大丈夫よ。みんなありがとう。」


小十郎くんの一言を皮切りに家を出て保育園に向かっている最中にテツナちゃんに勇太くんが心配してくれた。さっきから険しい顔をしながらお腹摩ってたのが気になっちゃったのかな?でも薬も飲んで本当に大丈夫になったし!
私はいつもの笑顔で心配してくれた三人にお礼を言った。するとそれで三人も安心したのか優しく笑ってくれた。

本当に、私幸せかも。
こんなに心配してくれるみんながいてくれて…




「う、うぅ…」

「ちょ、大丈夫?」

「薬きれちゃったかも…痛いよ…」


あれから薬がずっと効いていてくれて今はお昼休み。だけどどうやら薬の効果がなくなったようで。
やっとの思いでお弁当はなんとか完食して、今は自分の席から動かずにひたすら痛みと格闘している。すると友達が心配してくれたようで話しかけてくれたが、今は会話どころではないほどの痛みなのだ。

薬…ああ。何故私は今日に限って薬を忘れてきてしまったのであろうか。昨日カバンを変えたのが間違いだった…まだあと二時間授業があるととんでもなく憂鬱である。


「ごめんテツヤ、せっかくのオフなのにお迎え行かせちゃって…」

「いいんですよ。それにしても麗華さんかなり辛そうですね、大丈夫ですか?ちゃんと帰れますか?」

「あ?どうしたんだよ。つーか昼あたりから蹲ってたよな?顔色もわりーし。」


なんとか二時間の授業を終えて放課後になった。普段はこれからジュニアたちのお迎えなのだがあまりの痛みにお迎えなんて行けそうにないのだ。だから今日は珍しく部活はオフだというテツヤにジュニアたちのお迎えを渋々頼んだ。
とても心配そうに私を見つめるテツヤの隣には同じく心配してくれているであろう大分怪訝そうな顔で私を見つめる火神くんがいる。

ええ。正直言いますとこれほどの痛みは初めてに近いです。元々あまり痛む方じゃないので慣れてないと言いますか…


「あれだったら送ってくぜ?どうせ黒子ん家に邪魔する予定だったし。」

「そうですね、麗華さんは火神くんと先に帰っててください。途中で倒れたりしたら大変なので」

「い!?いや、そんな平気だよ!私倒れたりしないよ!そんな迷惑かけたくないし、ホントに大丈夫だから!」


…って。さっき全力で訴えたはずなんだけどな。
テツヤは保育園に寄って行き、私と火神くんは二人きりに。いつもなら私は元気に話を振るんだけど今はそんな余裕さえなくて。かなりペースが落ちてる私の歩調にも合わせて歩いてくれる。

部活がお休みのときは大抵家に来てストリートのバスケコートで練習をして、夕ご飯を食べて帰ることもあれば泊まっていくことしばしば。今日はどうなるのか分からないけど、取り敢えず家に向かう。


「大丈夫か?」

「平気だよ。でもごめんね、迷惑かけて」

「迷惑はかけられてはいけど…でもそんなに歩くの辛いなら俺の背中乗る?」


少し照れ臭そうに顔を赤くしながら言ってくれた。正直、こんなこと幼なじみの彼ら以外に言われたことなんてなくて驚いた。まだこんな風に優しく接してくれる男の子がいたなんて…

ゆっくり歩きつつも私の返事を待っている火神くん。でもあまりに遅い私の歩調に嫌気がさしているかもしれない、それに一生懸命気を遣って言ってくれたんだし断るのも失礼なのかな?あ、でもここでお願いします。って言うのも彼女でもないのにおかしい?変?

…でも、本音言うと限界に近い。


「ごめん、お願いしてもいいかな?」

「おう…ほら、乗れるか?」

「わ、あ、ありがとう…ごめんね、私なんかが乗っちゃって」


一度立ち止まり、火神くんはその大きな背中と両腕を私に向けてくれた。カバンも持ってくれると言ってくれたのでお願いしてその背中に身体を預ける。
その瞬間にふわ、と両足が地面を離れて宙を浮く。目線もかなり高くなった。

私と火神くんはお互いに少し緊張しながら家への道を辿る。1.2回程来たことがある彼は家までの道を覚えているらしく迷わずに一歩一歩進んで行った。


「今日も夜ご飯食べてくよね?」

「そうだな。」


他愛もない会話を数回繰り返して角を曲がったところで青い髪の毛をした長身の男子高校生とピンクの髪の毛をした可愛らしい女子高生が並んで歩いているところに遭遇した。
その二人は私と火神くんの姿を見て心底驚いた表情をしたかと思えば何とも言えぬオーラを漂わせはじめた。

ちょ、何…?


「てめ、火神!麗華に何してんだよ!」

「麗華!?どしたのおんぶなんてされちゃって!」

「二人とも、火神くんは何も悪くないよ。私、やっぱお腹痛くて歩けそうもないからこうして運んでもらってるの。」


なんとかして大輝が火神くんに飛びかかるという事態はさけなければならない。なのでゆっくり説明をすると、どうやらさつきは全部わかってくれたようで、「大丈夫?」と私と火神くんに心配そうに声をかけてくれた。
すると大輝も少しは状況を理解してくれたようで、落ち着いて心配そうに私の顔を覗き込んでくれた。

やっとの思いで家に着くと、リビングのソファにそっと寝かしてくれた火神くん。すると奥からさつきが薬を取ってきてくれて、大輝も掛け布団を持ってきてくれた。


「ごめんね、ありがとう」


さつきから受け取った薬を飲んでから再び横になる。今にも閉じてしまいそうな重たい瞼を一生懸命に開いて三人に笑ってお礼を言った。
すると大輝が手のひらを私のおでこに乗せた。


「体調悪いなら無理すんな、取り敢えず寝ちまえ」

「そうだよ。麗華辛いでしょ?寝たら楽になるよ!」

「俺が言うのも何だけど寝とけよ、な?」


三人がそう言うので、私はゆっくり頷いてから瞼を閉じた。

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