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「はあ、はあ…っ」
くそっ。
こんなに久々に走ったっつーの…
息があり得ないほどに上がっていて、鼓動も心臓が飛び出るんじゃねーのかっつーほど早い。
そして良に言われた場所に着くと、良はまだ俺に気付いていないらしい。
ー大切な場所、ストリートバスケのコート。
俺と良が初めて打ち解けた場所でもある。
一緒にバスケをして息が合うと思った。
カシャン、と金属が擦れ合う音を立てて俺はストリートバスケのコートの扉を開けた。
するとさすがに気配を感じたのかこちらを向いて良は。
「青、峰さん…っ」
泣きながら俺をじっと見つめた。
もう思いつめすぎたみたいに泣き崩れていた。
フラフラな状態であるのに俺の方に寄ってきた良を見て俺は後悔した。
どうして、どうしてもっと早くに気付いてやれなかったんだろう…
コイツ、思ってたほど強くねー。
溜めたら溜めた分だけ壊れちまう。
それを俺が…
「良」
「…っ!」
全部抱きしめてやらなきゃいけなかったんだ。
優しく包んでやらなきゃいけなかったんだ。
側にいてやらなきゃ、コイツは壊れちまう。
だから。
「不安なこと全部話しちまえ。俺が全部聞いてやる。そんで抱きしめてやる」
「青っ、峰さん…!!!」
俺の胸にスッポリと収まってしまっている良はまるでか弱い女だ。
だけどどうやらそれを本人は気にしているようなので触れてやらない。
ギュ、と力強く抱きしめれば良はだんだんと落ち着いてきた。
不安なとき、抱きしめてやればいい。
この安心は全部親から譲り受けた安心感だ。
だから良、俺に包まれて安心しろ。
このままずっとー
「え、俺?」
「そうです…青峰さんはやっぱ胸の大きな女性がいいんじゃないかとか考えてたら不安いっぱいになっちゃって…」
「バッカじゃねーの!?そりゃ胸はデカい方がいいに越したことはねーけど、俺は良が好きだから」
抱きしめたまま良を感じていると、落ち着いた良がゆっくり話しはじめた。
相槌を打って良の話を最後まで聞いたところで、全ての元凶が俺にあることが分かった。
抱きしめられたままの良はずっと俺の胸に頭を埋めていて、今どんな顔をしてるかなんてわかんない。
しかしまさか、そんなことで俺が不安にさせていたなんて。
良にはおっぱいねーけど、俺は良っていう人間が好きになったんだし。
「それに青峰さん、今日告白されてたじゃないですか…っ」
「は?」
「とぼけないで下さいっ!放課後の屋上で、女の子に手紙渡されてー」
それだけ言われてギク、と背中に冷や汗を感じた。
まさか、見られていたなんてー…
だけどあれは俺への告白なんかじゃなくて、良に手紙を渡してほしいとのことだった。
だから、あの女は良に気があって良に告白するつもりだったって訳。
けど俺はあのあとその女に言ってやった。
「良は誰のモンでもねえ。俺のモンだ」って。
そしたら手紙を渡してほしいって女は初めはすっげーアホ面してたけど、なんとなく内容を理解した様子で俺を避けながら屋上を出て行った。
けどそんなことくらいで諦めるような女だったんだなーと俺はため息をつきながらずっと今まで屋上にいた。
「あれは俺じゃねーよ。今吉サンに手紙渡してくれって頼まれたけど断ってただけ」
「ホント…?」
「あ"?てめ、良。疑ってんのかよ」
良にだ、って言うのは物凄く嫌だったからとりあえず今吉サンの名前を出した。
嘘だと見抜かれてしまいそうになった時、咄嗟に口から出てきたのはまるで脅すような言葉。
一瞬だけ「ひ」と声を上げて身体を縮こませたけどすぐに緩んだ。
俺の脅しもコイツには効かなくなったって事なのかなー。と呑気に考えていると小さな声で良は言った。
「青峰さんは、嘘はつきません。意外と素直ですからね」
とても穏やかに、優しく。
埋めていた顔を俺に向けて笑った。
ー俺の大好きな、あの笑顔で。
ずっと見ていたいと初めて思った笑顔で
やっといつもの良に戻ってくれた。
俺の大好きな良に。
素直なのは、お前じゃねーか
「良って泣き虫なんだなー」
「ちっ、違いますよ!あれは青峰さんに泣かされたんです!!」
「はあ!?人の所為にしてんじゃねーよ!」
ストリートバスケのコートを後にして家路につく。
ちゃんと、二人を繋ぐように手を重ねて。
泣き虫だとかおちょくったけど、あの良もすっげー可愛かったな…
〈青峰くんの桜井くんに対するのロケは、まだまだ熱が冷めないようです。〉
ー良、不安になったらいつでも飛び込んで来いよ。
いつだって抱きしめてやる。
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何なんでしょうこの低クオリティはorz
桜井と青峰のほのぼのしたのが書きたかったハズでは…?←
リベンジだ、青桜っ!!
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