「スザク、ちょっといい?」


そう声をかければ直ぐにどうぞ、という返事が聞こえた。
ドアを開けて中に入ればいつもとは違うが違和感のない白に身を包んだ友の姿が。


「やっぱり白が似合うわね、アンタは」

「ははっ、ジノには代わり映えしなくてつまんないって言われたよ」

「ジノらしい感想ね…」


お互い苦笑いをしながら話す。


「あ、そういえばカレン、何か用?」

「何か用って…こんな時に言うのなんてお祝いの言葉に決まってるでしょ?」

「ああ、そっか」

「結婚おめでとう、スザク」

「ありがとう。名前には会った?」

「もちろん。ここについて最初に会いに行ったわ」

「さすが親友」


話しながらあたしはスザクの前まで移動する。
さっきまで談笑していた時とは打って変わり、あたしは真剣な表情をする。
それに気付いたスザクは一瞬驚いた後、同じく真剣な表情になった。


「スザク」

「なに、カレン」

「アンタは名前と結婚しても、変わらず軍に残るのよね?」

「ああ」

「…名前を、」

「………うん」

「名前を泣かさないって、約束して」


スザクはあたしが何を言うのか、わかっていたかのような表情で話を聞いていた。

あたしがわざわざ1人でスザクのところに顔を出したのは、これを直接言いたかったからだ。
名前はあたしの親友。小さい頃、学生になって、大人になってからも、ずっと一緒の親友。
そんな親友の結婚なんて、嬉しいに決まっている。しかもちゃんと好きな人とだから、なおさら。

だけど……相手はあたしもよく知る軍人である枢木スザク。
これが何を意味するのか…少し考えれば、少し先の未来なんて想像つく。


「きっとスザクが軍に残る事も承知で結婚を決めたんだと思う」

「うん、笑顔で了承してくれたよ。名前は」

「でも、やっぱり名前は不安に思うわよ。旦那が軍人で、死と隣り合わせって」

「………うん」

「……あたしは、名前の傷付いて泣く姿なんて見たくない。そんなことしたら、例えアンタでも許さない」

「うん、わかってるよ。絶対に名前を傷つけない」


真っ直ぐあたしを見て断言するスザク。
その目は、本当に真剣で。揺るぎない意思が、目だけでこちらに伝わってくる。


「……頼んだわよ、名前のこと」

「ああ、任せてくれ」



信じてる



あたしは真剣な表情を解き、笑顔を見せてスザクに言葉をかける。
なんだかんだいって、やっぱりスザクって頼れる。それに、信じられる相手なんだ。
でも、信じてる相手だからこそ小言の一つや二つ、言わせてよね。
やっぱり、親友って大切にしたいもの。



END
2012.02.25



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