「スクアーロ、ネクタイ曲がってるわ」

「あ?ああ…悪いな」

「いえいえ。ヴァリアーの幹部ともあろう人が身だしなみがなっていないなんて、示しがつかないじゃない?」


そういって俺のネクタイを直す名前。
ったく、相変わらず綺麗な顔して毒を吐く女だぁ。


「はい、できた。それじゃあ、行きましょうか?」

「そうだなぁ」


名前の手がネクタイからはなれ、俺たちは進んでいく。お互い自然に腕を組んで。
今日はボンゴレ主催のパーティーだ。しかも女性同伴が規則。
ヴァリアーへの誘いはもちろんあったが女性同伴となると少々面倒になる。

ボスやベルなんかに特定の女はいない。だから女をどこかから手配しなきゃいけなくなる。
それ相応の女が必要になるし、何よりアイツらが満足するような女を探さなくちゃなんねーで、正直面倒。
アイツらもそう思っているのか、今回は俺と名前だけが出席することになった。

名前はヴァリアー幹部の管理役で、俺の女だから。


「ヴァリアーだ…!」

「ボンゴレ直属暗殺部隊、ヴァリアーの隊長スクアーロ…」


会場に入っていけばあっという間にざわめきが起こる。
まぁ当然といえば当然だがなぁ。

そんな俺への言葉が小さく聞こえてくる中、こんな声もちらほら上がっていた。


「隣にいる方、誰かしら…?」

「随分お綺麗な人ねえ…」


名前の感嘆の声だ。
名前は本当に綺麗だ。誰が見たってコイツの美しさには眼を奪われる。
異性はもちろん、同姓からの声も多い。


「あらあら、私たち随分周りの視線集めちゃってるわね」

「まぁボンゴレに関係してたら俺たちに注目したって可笑しくねぇだろぉ」

「まぁそうね。あ、スクアーロ。ザンザスに言われたことしなくていいのかしら?」

「おお、忘れるところだったぜぇ。あぶねぇあぶねぇ…」

「うちのボスの言う事は聞いておかないと、帰って面倒よ?」

「だなぁ。んじゃ、ちょっと行ってくる」

「いってらっしゃい」


そう言って俺は名前から離れていく。
ボスに言われたこと、とは早い話が挨拶回りだ。
ボスなら突っ立ってるだけで周りがやってくる。それにアイツが自分から行くなんてことはしねーしなぁ。
ボンゴレ主催のパーティーで一応招待された身だ。
こっちから挨拶に行くってのが、まぁ普通だろうなぁ。

ってことで俺は会場内を歩く。
そこらへんにいるボンゴレ傘下の名だたるマフィアにとりあえず声をかける。
それから主催したボンゴレたちを探す。
少しキョロキョロと見渡せば見慣れた顔がいくつか。
近寄って声をかければ驚く奴もいれば威嚇してくる奴、普通に声をかけてくる奴も。

ボンゴレとの会話を少し交わして名前の所へ行こうとすれば、今度は見慣れた野郎がこっちへ近付いてきた。


「よお、スクアーロ!」

「なんだぁ、跳ね馬か」

「おいおい、なんだはねーだろ」


ハハハッ、なんて眩しいくらいの笑顔を向ける跳ね馬。
久しぶりに会う跳ね馬と多少の会話。
お互いの話を多少すれば少し話題を変えてくる跳ね馬。


「あ、そういえばスクアーロ」

「あぁ?」

「名前、さっき男に囲まれてたぜ」

「は?」

「お前がいるって聞いたから名前もいるんだと思って探したらよ、さっき4人くらいに囲まれてたぜ。相変わらず綺麗だからなぁ、名前は」

「またか。ったくいい加減ボンゴレ関係者なら俺の女だって顔覚えろよなぁ…」

「お前と名前がセットで公の場に出るのなんて数えるほどじゃねーか」

「まぁ、確かになぁ…」


そう言いながら俺は会場を少し見渡す。
そうすれば一角に男が群がっている場所が。そこかぁ…。

俺は跳ね馬に別れを告げて名前がいるであろう所へ歩いていく。
近付くにつれて聞こえてくる男と名前の声。


「本当にお綺麗ですね!」

「あら、お世辞がお上手なんですね?」

「お世辞だなんてとんでもない!事実を言ったまでです」

「フフッ、ありがとうございます」

「宜しければあちらで一緒に飲みませんか?是非お話を」

「まあ、本当ですか?」

「あれ、そういえばお連れの方はいないんですか?」

「確かに、異性同伴なのに…」

「あら、連れならいますよ。貴方方の後ろに」


そうニッコリ笑って俺を指差す名前。
名前の言葉に反応して後ろを向いた男ども。
全員俺の顔を見た途端に顔を青ざめさせていく。


「なっ…ヴァリアーの、スペルビ・スクアーロ!」

「ま、まさか…この人の…」

「俺の女に手ぇ出してねーで自分の女のところに行きやがれぇ!」


そう一喝してやれば早々に立ち去る男ども。


「まあスクアーロ、助けてくれてありがとう」

「ったく、何が助けてくれてありがとうだ。わざとやってたくせによぉ」

「あら、何のこと?」



デンジャラスビューティー



「ホント、お前は罪作りな女だよなぁ」

「どーいう意味よ」

「ニコニコ愛想振り撒くだけ振り撒いて、その気はカケラもねぇ。しかも俺の気を引くためにやってんだからなぁ。男たちが逆に可哀相だぜぇ」

「あら、よくわかってくれているじゃない」


私が本当に愛してるのはスクアーロだけだもの。
そう極上の笑みで言われたら、俺の気だってお前から離れねぇよ。
お前の美しさは、ホントに罪作りだぁ…。



END
2011.12.03



←back


















←back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -