はあ、今日も疲れた。うちのボスとか隊長とかホント人使い荒いよ。
幹部の人達とおしゃべりするのは楽しくて良いけどさ、任務になるとやっぱりわたしはまだまだペーペーだから大変…はあ。

今日の任務を一通り終え、自室へと向かう廊下をゆったりと歩いていく。
ヴァリアー所属でまだまだ幹部になりたてのわたし。ホントにペーペー。1人後輩が居るけど、数ヶ月しか変わらないレベル。
幹部になる前からヴァリアーには所属して任務はこなしていたけど、やっぱり幹部になると任務のレベルが急に上がる。
先輩からの推薦で幹部になったから、腕が買われてだと思うと余計に肩に力が入ってしまう。

うーん…疲れた。部屋に戻ったらゆっくりお風呂に浸かって眠ろう。明日もまた早起きしなくちゃいけないし。
そう思いながら部屋に向かい、次第に視界に自分の部屋の扉が目にはいってくる。


「あ、先輩おかえりなさーい」

「……………え、」


思わず開けた扉をゆっくり閉めてしまった。
あれ、ここってわたしの部屋で合ってるよね?間違えて、ないよね?
いや、幹部になったから部屋が新しくなってまだそんなに経ってないから間違えたかもとは思うけど私はわりと記憶力はいい方だからそんな間違いしてないはず…。
あれ、でもなんだろう。今わたしの部屋のベットを大きな被り物をした“アイツ”が独占していたような気がするんだけれど。

多少混乱しながらも再度扉を開ける。
するとやっぱりいた、“アイツ”。マジか、見間違いじゃないし。


「せんぱーい、何で扉閉めて出て行っちゃうんですかー」

「いや、部屋を間違えたかと思いマシテ」

「間違ってませんよ、ここは名前先輩の部屋で間違いないですー」

「……ですよね」


はあ、とため息を吐いて“アイツ”――フランを再度見る。
何で部屋に居るの。何でわたしのベット独占してんの。不法侵入とかしんじらんない。てかあんた自分の任務はどうした?
…言いたいことは山ほどある。あるけど、多分この後輩に言ってもスルリスルリとかわして適当な返答しか返ってこないだろう。
でもとりあえず、これだけは聞いておこう。


「……何でいるのよ」

「先輩の帰りを待ってたんです」

「ああ…そう」

「何でそんなに冷たい反応しかしてくれないんですかー名前先輩」

「いや、疲れてるんだよ、うん」


これは事実。まあフランの顔を見て余計に疲れたんだけどもさ。


「それじゃあそんな疲れた先輩をボクが癒してあげますー」

「え?」


突然の提案に驚いてしまう。
それと同時に嫌な予感。…コイツの提案ってまともな事が無いって先輩たちも言ってたし自分でも体験済みだ。


「先輩、こっち来てください」

「?」


疑問符を浮かべ、警戒しながらもフランに近づく。
すると突然手を取られ、ベットの中へ引きずり込まれてしまった。


「なっ、ちょっと!?」

「せんぱーい、ちゅーしましょう」

「………はっ!?」

「ちゅー」

「いや、ちょっと、無理だから!」

「ちゅー」

「ちょ、っと!」


だんだんフランの顔が近づいてくる。
悪い予感がやっぱり当たっちゃった!てかこれは最悪なパターン!!
何とか抵抗してフランを退ける。


「な、何してくれるのよこの後輩!!」

「先輩にキスをして、先輩を癒してあげようと思ったんですー」

「たっ、頼んでない!!」



キス・キス・キス!



「先輩とのちゅーは甘くて好きですー」

「はいはい…って、ちゅーなんてフランとしたことないでしょ!?」

「あっ」

「アンタ…」



END
2012.03.11



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