「京子大丈夫?」

「うーん……大丈夫、だよ」

「大丈夫って顔してないでしょうが…」


朝から机に伏している私を心配してくれる花。
お腹が……とっても、痛い。


「今回のはずいぶん重いんだね」

「うん…こんなに辛いのは久しぶり」


お腹が痛い原因。それは女の子なら誰もが一度は痛みで悩むだろう生理痛。
いつもはそんなに酷くないのに…なんで急にこんなに痛いんだろう。


「薬は?」

「さっき呑んだよ」

「でもあんま効いてないみたいね」

「うん………はぁ、痛いよー…」

「結構酷いみたいだし、保健室行ってたら?先生にはあたしから言っとくよ」

「ありがとう、花。それじゃあお言葉に甘えて、行ってくるね」


バイバイと花に手を振って保健室ヘ向かう。
笑顔もまともに出来なくて苦笑いになっちゃった…。

私が教室を出て少しすると予鈴が鳴った。たちまち廊下はシンとなる。
寒い廊下をお腹を抱えながら一人で歩く。すると前から人が歩いているのが目に入った。


「あっ」

「……………」


その人物と目が合い、こちらへゆっくり向かってくる。そして私の前で立ち止まり、暫く無言で見つめ合う。


「……予鈴、鳴ったよ」

「そう、ですね」


彼―――雲雀さんに言われた言葉に苦笑いで返す。
彼の表情は未だ怪訝とした顔だった。


「予鈴なったのに、なんで君はここにいるんだい?……咬み殺されたいの」

「ちょっと保健室に行こうと思って…」

「保健室……」


ピクリと反応を示す雲雀さん。


「……どこか、体調が悪いのかい?それとも怪我か…」

「雲雀、さん……?」


反応を示したと思ったら少し表情を変えてこちらを見る雲雀さん。
そんな彼の表情は、まるで焦っているような…不安そうな…。


「……ちょっと、お腹が痛いだけですよ?」

「……大丈夫、なのかい?」

「はい。保健室でちょっと横になれば、きっと大丈夫です」

「…………ふぅん」


私がそう言えば表情が元に戻る雲雀さん。

あぁ、そっか。雲雀さんは―――



君が心配で、



「……保健室、ついていってあげるよ」

「フフフッ、ありがとうございます」


―――私のこと、心配してくれてたんだな。



END
2011.09.11
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