「御堂筋くん!どないしたんその頭!」



同じクラスの御堂筋くんが、夏休み明けに初めて登校してきたとき、私は目を疑った。休み前まで長かった後ろ髪が、きれいさっぱり丸坊主になっていたのだ。 京都伏見高校の校則で、男子の髪型は耳にかからない、肩にもかからない長さと決められている。風紀委員である私は頭髪検査のたびに違反生徒に注意をしなくてはならない嫌な役回りで、だからこそ御堂筋くんの長めの髪にも毎度口出ししなければならなかった。御堂筋くんは生活態度には概ね問題ないのだから、あまり厳しいことは言いたくないんだけど。

それでも風紀委員として私は平等に注意しなければならない。違反を放っておくわけにはいかないと、諦めずに今まで注意し続けた私の気持ちがようやく通じたのだ。努力は実を結ぶ。


「とうとう私の気持ち、わかってくれたんやね…!嬉しいわ!」
「ハァ?何が」
「うんうん、そっちの方がよう似合うとるよ!」
「何やこいつ…ちゃんと耳ついとるん」


よかった、これでもう先生からも「お前のクラスのあの頑固頭どうなっとんのや」て言われんで済む。
そう晴れやかな気持ちで席に着いた私が、近い将来さらなる絶望の底に叩き落されることになるとは、知る由もなかった。



「御堂筋くん!どないしたんその頭!モヒカンて!!」
「次は何にしたろかなぁ、髪ィ緑にでも染めよかぁ」
「いやああああ」



拍手ありがとうございました!



※顔文字も記号(←や;やwなど)もまったく構わない、むしろウェルカムなのですが、絵文字だけはなぜか反映されないので避けてもらえれば助かります…


お返事はmemoにて

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