〆上手くいく方法


分史世界。正史世界とは異なる世界が多く存在しており、その世界を壊さないといけないのにありすぎて全て破壊する気力が失せる今日この頃。

「はぁ……分史世界壊している人もっと増えればいいのにね。それかもういっそのこと時歪の因子なんて無視して…」

「そうしたらオリジンの審判の意味ないだろ」

「ですよねー」

アルヴィンに言われつつルドガーとジュードが台所に立つ後ろ姿を眺める。隣にはエルとルルも作っているところを見ていた。


「もうすぐ出来るみたいだからエル、みんなを呼びに行こうか」

「うんっ!ルル!」

「にゃ〜」

ジュードに言われて一緒にその場を去る二人と一匹。その入れ替わりでエマナはルドガーの隣に立った。ルドガーはどうしたのかと首を傾げる。

「ほら、私も手伝う!食器とかはもう並べてるから注ぎ分けるの手伝うよ」

今日はトマトをベースにしたスープに、お肉料理やサラダ等揃っていた。それを次々に分け入れ準備が整っていく。終わってまだミラたちが来ない内にエマナはルドガーを台所の影に呼んだ。

「ね、ルドガーってどうしてこんなに料理上手いの…!」

「え」

「え、って、こんなに作れるなんて凄いよ。私も教えて貰えれば作れるようになるかな…」

「なら明日の朝食、一緒に作るか?俺で良ければ教えるけど」

「本当に!?」

ルドガーは優しく微笑み掛け、注ぎ終わったお皿をテーブルへと運んで行く。それに習ってエマナもいそいそと残りのお皿も運んで行く。
一人テーブルについていたアルヴィンは、ルドガーたちの会話を聞いていたのか何やらニヤニヤと二人を見ていた。

「な、何よアルヴィン。ニヤケて気持ち悪っ」

「あのな、気持ち悪って何気に傷つくんだぞ」

「ごめんごめーん」

「謝る気ゼロだろ」

「それで、どうしたんだ?」

ルドガーの問いにアルヴィンはまたニヤケだす。

「だっておたくらが結婚しちまえば毎日ルドガーの手料理食えてエマナは働きに行けて何とかなるんじゃないかなーとよ」

「は!?」

「どうせエマナはレイア並みの腕だしな」

「ちょ、確かに私下手だけど、レイアを出すことないでしょ」

アルヴィンの唐突な言葉に顔だけではなく身体全体熱くなってきた。ルドガーのほうを盗み見ると、ルドガーも若干頬を染めていた。こんなことを言われてきっとルドガーは迷惑だろう。頬を赤らめていても心の中ではそうに違いない、そう思って苦笑いで笑った。なのに…


「エマナが良ければ…そうしたい、な」

「…え」

「…は、はは。本気か?」

ルドガーの出た言葉に対し、アルヴィンは冗談で言ったつもりだったようで、顔が引き攣っている。もちろんエマナも一瞬固まったがまたすぐに我に戻った。

「もう!アルヴィンが変なこと言うから…!!」

「わりぃ、そうなれば楽なのになーって思ったもんだからついな」

と、話す中やっと階段を降りてきたエルたちを見て入れ違いにルドガーはエマナの手を取り宿から出た。その動きは素早く、アルヴィンもエマナもジュードたちも何がどうしたのかと困惑状態だった。
そして、エマナはルドガーに連れ出されて宿の影へと足を止めた。


「ねえルドガー、あれ本気?」

「………あぁ」

下を俯いていても赤くなっている耳が恥ずかしいという感情を表している。ルドガーがまさか言ってくれるなんて想像つかなかったのに、嬉しさが込み上げて胸が苦しくなる。

「嬉しい…私も、ルドガーと家族になりたい、一緒に居たいよ」

「…!?」

「本当だよ?私、ルドガーがずっと好きだったんだもん。」

「俺も、エマナが好きだ!ずっと言いたかった、言うのが怖かった…」

二人ずっと片想いだと思っていたのに両想いだったことが分かって自然と笑みがこぼれた。これからはずっとルドガーと居られる、そう思うだけで嬉しさが溢れた―――



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