≫愛が痛い 「ここが夕暮れのラコルム地方なんだね…きれい」 「ああ。カン・バルクでは見れないからか新鮮だな。」 「本当にそう思ってる?と言うかウィンガルに感性なさそう」 「失礼な人だ。そんな貴女こそ、食べ物と闘う事以外で興味があったとはな」 「バカにしないでよ、これでもピュアハートだって言われるぐらいなんだから」 「ユメがか?笑わせる」 「むーーー!!本当だから!」 海岸で言い合うウィンガルとユメだが、これでも恋仲である。意外にもウィンガルからの告白だった。今でも信じられないでいる。何故ならこんな風によく会話で言い合っているからだ。恋人らしくもないのでいつもと変わらない。 「ウィンガル、何で私なの?」 「いきなりどうした。」 「いきなりじゃないよ。だって、こんな私なんかよりもっと良い人がいるだろうから…」 「自分は良い人ではない、とでも言いたいのか?」 「当たり前だよ!凡人だよ!?身長なんてアグリアより小さいんだよ!あとプレザみたいにスタイル良かったり頭も良くないし」 「そうだな。」 「ちょっとはフォロー入れてよ!」 「…お前はどうして欲しいんだ……」 面倒臭そうにユメに返事をしていると、彼女はプンプン怒り始める。自分で言っておきながらコレだ。何故交際を求めたのかと考えてしまいそうになった。 「そ、それに、何でウィンガルが私と一緒に…なりたいって思ったのか理由聞いてないし…」 「好きに理由はいるのか?」 「は……!?」 「何だその間抜けな驚き方は。」 「理由はないよりあったほうが良いよね、ね?」 「そういうユメはどうなんだ。」 返された言葉に間が空く。どうなのか?それはウィンガルに告白をされ受けた理由?そんなの好きだったから、いつの間にか目で追っては彼が居ないところで彼の事を考えている自分がいて。それが恋だと気付いた頃には相手から告白されていた。ただそれだけ。 「……好き、だから?」 「疑問符を付けられてもな」 「好きだから!あと、告白された時意外性も強くて…、ウィンガルの視線が怖かったのもある…」 「怖かったから言うことを聞いた、と?」 「だって本当に怖かったんだもん!その前に好きって言ったよ!?怖いよりウィンガルが好きだったから、嬉しかったです!はい!」 「だが1/3程は脅しでということになる」 「いやそうかもだけど、でも!ああああああもう誰かこれ止めてーーーー!!」 夕日に向かって叫ぶユメにウィンガルは苦笑いで。しかしそんな元気な彼女を見て心が和んだ。 愛が痛い (これが恋) →項目へ戻る |