≫恋愛闘志 「なんでみんなカレカノ出来るんだあああ!!!もうヤダ!」 「それは仕方ないわよ。この中じゃユメのこと相手にしてくれそうな男なんて、いないでしょ」 「なにさらりと言ってんのプレザ」 相手の気持ちも考えないプレザは、ユメにとって傷つく言葉を吐き捨てた。本当のことだから仕方ない、とは認めたくないのに悔しい気持ちに陥る。 「そういうプレザって、いろんな人と付き合ったことあるんでしょ?」 「まあ、貴女ではないから多少は、ね」 「もー!嫌味ったらしいっ」 怒るユメに笑うプレザ。わざとプレザは楽しんでる様に見える。そんなことをお構い無しにユメはプレザの思うがまま弄られていた。 「おい、何を遊んでいる。」 「あらウィンガル。この子、イジられるの好きだから」 「誰が好んで弄られて…!」 「…プレザ、大人気ないぞ」 「ウィンガルってばユメに甘いのね」 「さあな」 二人がする会話を聴きながら交互に見遣る。長身で綺麗で頭が良くて…あげきれない程二人にはユメが持ち得ないもの。こんな人たちと今まで一緒に居たと思うと誇らしくもなる。 「ああ、そういえば…ユメって、案外可愛がられているわよね」 二人の会話が終わったのか、ボーッとしていたユメはプレザに声を掛けられハッとした。 「え、…私?」 「この前貴女を見ていた数人の兵が妹でも良いけど彼女にしたいって言ってたわ。」 「…さっき言ったことと違って初耳なんですが」 「今思い出したのよ、それにしても良かったじゃない?」 これもプレザの弄りなのか、心から祝ってもらっている態度ではない。そもそもこの話が本当なのかすら信じがたいが… 「このちんちくりんにか?」 「ちょ、ウィンガル!?鼻で笑いながら私をバカにしないで!」 「ま、早くしないとこの子がどこぞの狼に食べられちゃうんだろうけど…」 「……。」 ウィンガルに視線をやるプレザはクスクスと笑っている。 「せいぜい頑張ることね」 去り行く際にウィンガルに言い聞かせたのか、プレザは困惑したままのユメの手を取り、ウィンガルを置いて歩いて行った。残された彼は額を手で押さえ、苦笑していた。 「言われなくとも俺が手に入れてやる」 恋愛闘志 (彼女を必ずこの手に) →項目へ戻る |