≫追いかけた先 「よっと」 屋根の上に上り、城に続くよう進んで行く。 このほうがいちいち門で待っているより手っ取り早いから。 「貴様はまた…」 「あらら、見つかっちった?」 親友がこのカン・バルクで兵として活動しているので滅多に街中では会えないし遊べない。外出も勝手に出来ないというのだから私が出向くしか他ないのだ。なので時たまこうして忍びの様に行くが、この人に見つかってしまう。 「屋根登って悪い?」 「開き直るな。どうせまた知り合いに会いに行くんだろう」 「…分かってて通せん坊ですか」 「勝手に抜け道を通るからだ。前にも言ったが門を潜ってから来い。」 「面倒臭いんです!いちいちなんで検問とかしなきゃなんないの」 「部外者だからだ。」 今回も通してはくれないようだ。雪が歩いて来た足跡をどんどん消していく。このまままた親友に会えないと、話したい事も話せやしない。だから、 「どうした?このまま引き下がる気になったか?」 「……そんな気なるかッ!」 思いきって走り、ウィンガルを横切ろうと足場を蹴った。なんだ、案外上手く行ける!?そう思っていたのは彼女だけで、横切るユメの身体を片手でひょいと肩に持ち上げた。 「ば、馬鹿な!」 「馬鹿だな」 笑っているのかこの人。失礼にも程がある。担がれたまま、ウィンガルはユメを人気のない場所へと運び下ろした。 「また来ても同じ。いい加減学習したらどうだ?」 「ふん!臨むところだから、次こそ抜けてみせる」 追いかけた先 (いつの間にかこれが日課になっていた) →項目へ戻る |