≫あめとむち こんなの違う、私は望んでいない。 「イヤ、イヤだ…!」 「煩い黙れ。」 「いったーーい!!」 バシーンと物凄く良い音がした。私の後頭部をウィンガルが叩いたのだ。 「ウィンガル痛い!」 「ふん、お前が言うことを聞かないからだろ」 「何なのこの人っ!私だけこんな態度ってヒイキっ」 「それだけお前を想って言ってしている。(棒読み)」 「………帰ります。」 事の発端は、ユメが大きな壺を城に持ち帰ったが最悪なことにそれを割ってしまったのが始まり。そこにウィンガルが居合わせ、彼女は何もなかったの如くその場から逃げ出そうとしていたというのだ。 「何故こんな壺を持ち込んできたんだ。」 「え、と…珍しい骨董品だったから部屋に飾ろうかと」 「まだそれなら許そう。だが、割っておきながら逃げるのは許せんな。」 「待ってよ、私片付けしようとしたの!でもウィンガルが怖い顔して近付いてくるからつい逃げちゃった、テヘッ」 「……。」 嫌な顔をするウィンガルに、彼女は慌てて話を続けようとした。どんな言い訳をしようとも彼はユメに片付けをするまで帰さないといったように視線を逸らさず彼女を見ている。 「すみませんでした片付けします。」 「よろしい。」 観念したユメと一緒に片付けを手伝いをするウィンガルに、この時ユメはさっきまでの鬼畜ウィンガルと違って結局はこうやって手伝ってくれる彼を見直していた。 あめとむち →項目へ戻る |