≫もう泣かないよ


ウィンガルがジュードたちとの戦いに負け、増霊極の長年の影響で身体がボロボロになっていたこともあってか彼は力尽き、他の四象刃であるジャオやアグリア、プレザも、王であるガイアスのために身を挺しこの世界から居なくなってしまったーーーー

「ユメ、」

旅が終わり宿泊処ロランドでユメも手伝いをしていた。しかし数日時が経った今でもユメは上の空。レイアは声を掛けてみるが、何と言えば良いのか言葉が詰ってしまった。こんな時ジュードなら何と声を掛けただろう、そう考えていても意味がないと思ったレイアは不安にさせまいといつもの様に明るく声を掛けることにした。

「もー!こんな所でサボってないでっ!さあまだまだやることあるんだからね〜!」

「うん」

一緒にしていた旅が終わってからこんな状態の彼女をひとりには出来ないと、レイア宅の宿で手伝いをしてもらうことになったがやはりあの時の出来事が忘れられない様だった。無理もない。ユメを元の明るい頃に戻したい一心で、毎日ジュード宅の病院で看護師として働き学びながらこうして様子を見に来ているが未だに変化は見られない。

「ジュードの時よりはまだマシだけど、どうすれば...」

悩むレイアはある人に頼むことにした。




「俺も暇じゃないんだけどな〜」

「そう言わずに!一緒に旅した仲間でしょ!」

レイアがアルヴィンに連絡を入れ何とか来てくれた。最初は落ち着くまでそっとしておこうとみんなで決めていたが、アルヴィンは彼のことをずっと引きずり今もベッドの上で座っては下を俯く彼女に対して苛立ちを覚えているようだ。

「いつまでも死んだ奴のこと引きずっても何も変わんねぇだろ」

「アルヴィンっ…そんな言い方ないでしょ!?ほら謝って」

「そもそも、アイツの寿命ぐらいお前も知ってたんだろ?」

アルヴィンの言葉に少し頷く。本当は知っていた、戦ってもう 期限 が来ていることを、彼はもう残り少ないと言っていたから。

「それによ、いつまでもこんなじめっぽくされてると周りの奴らにも迷惑だ。あと、ウィンガルがそんなお前のこと好きだったのか?」

またキツい言葉を投げかけるアルヴィンにレイアが止めようとしたが、最後の言葉でユメはやっと顔を上げた。毎晩飽きもせず泣いていたのか顔が酷い。

「はぁ…お前な、そんなことも言われないとわかんねぇのか?ウィンガルの生きた証、お前が記憶してる限り生きるんだ。忘れろとまでは言わないし世界の終わりみたいな顔、すんなよ」

「アルヴィンくん珍しく良いこと言う…」

「おい茶化すな!」

「ふふっ」

「「!?」」

久しぶりに見た彼女の笑顔はとてもではないが綺麗ではなかった、けれどあの日以来初めて見た笑顔だった。



また一歩前へ進めるように、見守っていてください




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