≫ひたすらに募る不安


初めてリンクをしたのはいつだったか…。

小さい頃増霊極を渡され、一度だけそれを使ってしまった経験があった。その時、私が何かの拍子に暴走してしまったせいでリンクの際発動させたような気がする。誰とリンクしたのかは覚えていない、少しあるのは体験したあの苦しみと感覚だけ。



「さっきウィンガルに聞いたら、貴女とリンクしたって言ってたけど…。彼と初めてのリンクはどうだった?」

城に着くや否や、プレザが話の続きをしだした。そしてウィンガルとリンクをした感想を持ちかけてきたのだ。リンクは誰とでも使えるように訓練もしているので普通に何ともないが、プレザは何故聞いてきたのだろう。

「えっと…やはりリンクには人それぞれの特徴があって不慣れもあるかと思います。しかし、ウィンガルさんとは楽に呼吸を合わせられた気がします。」

「珍しいわね。彼とは私もリンクをするけど、最初から楽に、だなんて思えなかったわ」

「そうなんですか?」

「ええ。あの性格だし、彼なりに戦い方があるみたいだから、合わせるのに頭を使わされるわ」


意外にもプレザは参っている表情をしていた。今では何ともないらしいが、初めから彼女とウィンガルは息の合っている良いパートナーだと思っていた。
プレザは別れる際に、アグリアよりは数倍マシだと言って立ち去って行った。そして直ぐ後ろに気配がし、振り向くとそこにウィンガルが近くまで来ていた。噂をすればなんとやら。プレザは気づいて立ち去ったようだ。


「今回はご苦労だったな」

「ありがとうございます。ウィンガルさんのサポートがあったお陰で勉強にもなりました。」

こうやって話掛けられると嬉しくて笑顔になる。しかし自分から話をしたとしても何を言ったら良いか悩んでしまう。それにウィンガルは雰囲気からして近寄り難いオーラを出しているので正直相手から声を掛けられるのも緊張する。

「…その腕に着けている物は、増霊極か?」

「はい、良くわかりましたね。昔に貰った物で、まだ一度しか使ったことありませんが、護身用として持ち歩いています。」


それを聞いたウィンガルは眉間にシワを寄せ、ヨウの腕に着けている増霊極を見つめていた。今までこれが増霊極だと聞かれた事はない。アルヴィンにも見せた事はないが、果たして気づける物だろうか。

「悪いようには言わない。今すぐにでもそれを外せ」

「え…」

「聞こえなかったか?それとも言った意味が分からぬのなら言う、お前の着けているそれを捨てろ」

言われた意味は分かるが何故今すぐにと言うのか理解出来ない。これがどういう物なのか一度経験したから分かっている、だからと言ってそこまで大切な物と言うわけでもないのだが。これは唯一、昔からの所有物である意味御守り代わりとして今まで持っていた。ヨウが考えている内にしらを切らしたのか、ウィンガルが彼女の左腕を掴み上へと上げた。


「な、何を!?」

抵抗しようにも、ウィンガルの腕は見た目より力が強く、男と女の力の差というのかびくとも動かせない。

「次に逢った時身につけていたら破壊する。」

「何で…」

そんなに怒られるほど増霊極は危険な物なのか、深くまでヨウは知らない事だった。




ひたすらに募る不安
(貴方が分からなくなる)

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