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キミへの気遣い


ついにここまで来た、あの有名なチャンピオン・ダンデのライバルのキバナと戦う日が。
何度も他のジム戦で倒されたが、ナックルシティのジムへ辿り着くまでたくさん努力してきた甲斐があった。諦めないでポケモンたちとここまで来れたのだ。
まだ一回も会ったことのないキバナをテレビで迫力のある戦闘を観てから、生で見てみたい、そんなことでジム戦を始めていたが今では手持ちのポケモンたちと旅をするのがとても楽しくてそんなことは二の次になっていた。

「宝物庫で待つ」

ジムトレーナーとのバトルでは宝物庫まで出向き2連戦を勝ち抜いた。隣で様子を見られて緊張もしたがこれで彼とバトルが出来る、そう思ったのに、

「!」

残りひとりのジムトレーナーに惜しくも負けてしまった。




「はぁ…あと一歩でキバナさんとバトル出来たのに…」

帰り道、俯きながら歩いていたナマエ。自然と溢れてきた涙が一粒一粒落ちていく。

『オマエとのバトル楽しみだからまた挑めよ!』

負けた後帰ろうとした彼女にキバナはそう声を掛けていた。なんとか元気に振る舞ってまた挑むことを誓ったが、今日でジム戦をコンプリートさせるはずが先延ばしになってしまった。

「まあ、最後のジムだし一回でクリアするほうがすごいよね…」

落ち込んでたらダメだと俯いていた顔を上げると目の前に見知った人が立っていた。

「ナマエさん何落ち込んでいるんです?みっともないですよ」

「あ、ビート……」

「そんな暗い顔でこの街を歩かれていてはこっちまで気分ガタ落ちです。負けたからって落ち込んで」
「そんな言い方、ないじゃん…」

毎日みんなでたくさん経験をつんできた、レベルもジムトレーナーたちより高かったのに。頑張ってくれたみんなをただただ慰めるしかないのだ。ポケモントレーナーとして全て自分のせいだと分かっている。

「では対戦してさしあげましょう。そうすればレベルも更に上がって効果もポケモンによってどう対処すべきかわかっていくはずです。」

「…ビート……」

「なんですか、嫌ならボクは帰りますよ!」

「ありがとうー!!!」

「うわぁ!」


ビートの気遣いに思わず嬉しくなって飛びついた。さっきまで落ち込んでいたのに不思議だ。彼が言う言葉はどれも刺々しいけどちゃんと気を遣ってくれているのがわかる。

「いいから離れてください!こんなところ他の人に見られたら」

「ナマエと…ビート?何してんだよっ」

「なっ!?ホップ!」

見られたくない相手のひとりに運悪く居合わせてしまった。

「誤解だ、この人が勝手に抱きついて」

「ナマエ負けて落ち込んでるだろうな思って探してたのに、すごいなビート!!何やったんだ!?」

ホップが純粋無垢な人で良かったと少しホッとするも、ビートから離れたナマエに心の中で少し寂しいと思ってしまったのは口が裂けても言わないビートであった。




.。(キバナ夢にしようとしてビートへチェンジ)



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