「言葉は一瞬だから煌めくの。」
知っているかしら、と目の前の少女は言った。下ろされたブラウンの髪が風に揺れる。
「そしてだからこそ、言葉は永遠をもたらすの。」
「永遠…?」
「永久とも言うわね。」
雷門夏未の言うことはいつだって難しい、と塔子は思った。まだまだ理解出来そうにないのは、私が子供なのか、彼女が大人なのか、とも。
「――で、だから夏未は何が言いたいんだ?」
「急かさないで頂戴」
「だって…」
あなたってつくづく円堂君に似てるわ、と彼女は言った。その時の夏未の瞳があんまり綺麗なものだから、つい見入ってしまう。
「何?」
「…なんでもないよ」
変な人、と夏未は笑った。塔子は少しだけ胸が痛くなったのを感じた。
(私は円堂じゃない)
この前木野秋にも同じような事を言われたのだ。
塔子はどうしようもなく曖昧に笑った。
こんな形で自分が縛られるなんて、思ってもいなかったのだった。
(夏未が望んでいるのは私ではないのだ…)
その考えは塔子を憂鬱にさせた。彼女には夏未の言った煌めきも、永遠も、いまいち理解出来無かったからだ。
(夏未が永久を願いたいのは、)
:リキッド・ロータリー