些か強かな性格である。俺は一遍に辟易してしまった。なにをどうしたって俺が奴に口では勝てないと、理解した(負けることも無いのだが)。今日で通算何回目か分からない口喧嘩を奴とした後だった。
初めて会った時から気は合わなかった。生理的に無理、と言外に言えば本能で無理、と真正面から言い返されるそんな間柄。ずっとそんなことをしていれば目立つのは必然で、最初の方こそチームメイト達は止めようとしていたが、気がつけばもう皆慣れたのか、見守るだけになっていた。
まあそんなことよりなにより、至極奴が気に入らないことの方が、俺にとっては大事なのであるが。

不動の事を認めていない、とか、そういうことは決して無い。奴は不動明王なんて大層な名前をしている癖に、全く名前負けしないような人間だ。多少、協調性やら何やらが欠けてはいるが、それを埋めるだけの能力を持っていた。
しかし、だ。俺の事を鬼道ちゃん、なんて呼ぶ奴だけは耐え切れるものではなかった。俺はそんな不動のことを只不動と呼んでいた。

「鬼道ちゃん」

ああ、ほら、まただ――







:高らかなる瀟洒

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -