変化が来るのは思ったより早かった。予期しない変革。望んでいるかは別にして。
「財前さん」
顔を上げると見覚えのある顔。
「…雷門?」
「それはこの学校の名前。まぎらわしいから夏未でよろしくってよ」
夏未の顔に浮かんでいたのは微笑。それはあまり好きなものではなかった。作り物くさい。
「私に「あなたは選ばれたの」
何か用か、と言う時間さえ与えられなかった。一瞬意味が分からず目を瞬かせると、
「あなたは特別な子供。行ってもらうわ――――戦争へ」
「…は?」



「あなたの力はどちらかと言えば後衛向き。でもその力は前線で使わないと、意味が無い。」
一体何が起こっているのかまだよく理解出来ていなかった。とりあえず分かるのは、今現在雷門夏未と二人きりで、しかも彼女の部屋で向かい合って座っていることだった。
「私の力って、なに?」
「通称は、鷹」
「鷹?」
「簡単に言うと相手の能力を分析する能力ね」
ただ、と夏未は付け足した。
「ただ?」
「今は、言えないわ」
塔子はあっけらかんと言った夏未をまじまじと見た。どうしてか彼女は言われない孤立感を感じた。そんなのは気のせいだと、分かっているけれど。むしろ私は最初から一人なのだ。
「で、私はどうすれば良いわけ?」
「理解が早くて助かるわ」
「別に」



「貴女は黒の軍よ」
そして渡されたのは妙な重さを持った黒の制服。明日からこれを着て、と一言。
薄く、上品に微笑む夏未はやっぱり気持ち悪かったのをよく覚えている。




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テーマ「人外ファンタジー」
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