お前死んでるだろ



もう君は覚えていないかもしれない。それはとある日に、戯れに交わした約束でしかなくて。君は既に忘れて、あの言霊は泡のように消えてしまったかもしれない。それは私にはわからない。君だけが知っている。


「なにか、用なの」
数日前から絶えず感じていた違和感。最初は無視と決め込んでいたのだが、だんだんと、いやに現実味を帯びる、それに。声が聞こえ姿が見え揚句の果てには触れることが出来てしまった。こんなの、ありえない!
「お前には足がないじゃないか!」
「だって俺は死んでるから」
にこりと笑う少年は、相変わらず厭味な少年だ。吹き抜ける青い瞳が私を指差している。

「死んでるならなんで触れるんだ。ていうか、死んだのにどうしてここに」
「さあ…俺にも、わからない」
「ふざけんな、ふざけんな、よ…」
言いながら、意図せず涙が出てしまった。慌ててそれを袖で拭う。
「なんで私のところに来るんだ。もっと別の奴がいるだろ。もっとお前を必要としてる奴が、いるだろ」
涙目で睨みつけると彼は困ったように笑った。いつかみた笑顔にそっくりだった。そっくりというか、ほぼ間違いなく本人なわけなのだが。

「俺は君の所に来たかったんだ」



最初フィディオだったんだけどなんか一之瀬になった




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