ああ愛しき私の半身



彼か、彼女か、それともやっぱり彼なのか。
優は翔の姿を見たことがない。正確には見ることができない、だが。優には翔となっている時の記憶もない。
だから優には翔が彼なのか彼女なのかも、と翔が優となっている時一体なにをしているのかも分からない。

翔は自分の中にいる一人の人間である。そう表現するのが一番合っていると優は思う。簡単に言ってしまえば自分は二重人格者ということになるが、それでも概ね正解だと思う。

「ねえ翔」
“なんだ、優”

優の名を呼ぶ翔は軟らかい声だ。
翔は自分の事はあまり話してはくれない。しかし翔に優の事は大概(もしかしたら全部かもしれない)つつぬけで、考えや不安を言い当てられてしまうこともしょっちゅうなのだ。これではなんだか不公平だと、たまに優は思う。

“ふふ、優、そんなに機嫌を悪くするなよ”





クロックタワーGHより




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