「たとえどんな結末を迎えても良い、なんて本当に思ってる?」
彼女の眼光は鋭かった。思わず後ずさりそうになるくらい。
刺すような青を受け止め切れずに、目を逸らす。何も言えない。
「そんなの嘘だ。人は誰でも幸せになりたいと願ってる。
どんなに善良な人間でもね――自分から不幸を望む奴なんていない」
そんな奴がいたらよっぽどのマゾヒスト、と彼女は吐くように呟いた。
「私は何もお前を責めようとなんてしていないけれど。勘違いしてない?」
「…なにを」
「私の人間性について。私はそんなに気持ちの良い人なんかじゃないんだ。寧ろ吐き気がするくらい、最低」
最後の言葉が頭をひたすら回っていた。
最低、最低、さいてい。
「本当に?」
「本当」

塔子がこんなに聡明だったことに関して、フィディオは少なからず驚きと動揺を抱いていた。初めて会った時の彼女は、もっと、こう――…
「私はお前の事嫌いじゃないよ」
「俺は塔子の事好きだけど」
「ふふ、さんきゅ」
いつものように笑顔を浮かべた塔子からフィディオは目を離せなかった。なぜならそんな塔子に、フィディオはもうどうしようもなく惹かれていたからだ。




:俺が惹かれた終りの話
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -