わたくしは現在マリアと申します。 何故マリアなのかは後々お話し致しましょうね。ただあの日、この子がわたくしに下すった名ですから、わたくしはこの名前がとてもとても、大好きですわ。 ……嗚呼、それなのにこの子が泣いております。わたくしの傍にくずおれて、泣いているのです。 ねぇ、ねぇ、泣かないで。 怨んでなんかないわ。そんな筈も無いでしょう? わたくし、貴女を愛していてよ。 ずっと、ずっとよ。 わたくしは幸せだったの、それをどうか、他でもない貴女が否定しないで頂戴。 けれどたった一言、貴女に大好きよって伝えたかった……心残りだなんてこれくらいよ。 だからお願い、お願いだから泣かないで頂戴。 どうか涙を落とさないで、 …………みちる。 ** 「まぁ、なんて愛らしいお人形なのかしら?」 わたくしを抱き上げたみちるの第一声。わたくし達はこのようにしてはじまりました。 国は違えどわたくしの評価はそうそう変わるものでは無いらしく、かの少女も同じことを言っていたこと、かの画家が君に恋をしていると語りかけたことが思い起こされます。 しかしみちるの場合、少々、違いました。 「お父様、お母様、みちるは嬉しく思います。とびきり大切に致しますわ。……ありがとう」 小さなレディはふわっと頬笑んでから、頭を垂れるよな不思議な所作を行いましたが、わたくしにはこれが日本の挨拶なのだとすぐに理解りました。 そのときの、みちるのあどけない顔立ちの中であんまりにも聡明に輝く瞳に、わたくしはすぐさま惹かれました。 どうやらわたくしは、みちるの七歳のバースティ・プレゼントとしてこの国に辿り着いたようです。 ------------ ・お人形の“マリア”視点の海王みちる成長物語...な内容です。 ・はるかへの恋や覚醒のとき,嬉しいときも哀しいときも,“マリア”はみちるの傍に居ました。 ・こんなふうに綴ってゆきます。すこし変わった内容かもしれません。 --ブラウザバックでお戻り下さい-- |