星空オプティミズム




グリフォンネタバレ有り。
まだの方はバック推奨。

天馬とシュウくんで、CP要素はないです。



ーーーーー


今日特訓をした石の上に、誰かが寝転がっていた。

夜遅くなのでわかりづらかったが、このシルエットは天馬だ、と思う。

「天馬…?」

恐る恐る声を掛け近寄る。

予想通りそこにいたのは天馬で、少しほっとした。
天馬は仰向けの体勢から顔だけを上げて辺りを見回している。

「こっちだよ」

歩いて天馬の近くに行った。彼の頭の上に立ったので、ちょうど彼からみたら死角になって僕が誰か分かっていないようだ。

「うん?」

彼からみたら後ろから話しかけた僕を見るために、天馬は勢いよく反動をつけて起き上がった。

「あ、シュウ!」

天馬は僕を見てにっこりと笑うと、自分の横を叩いた。どうやらここに座れ、という意味らしい。

僕は断る理由もないので、天馬の指示に従う。
僕が天馬の横に座ると、彼は満足げにまたさっきのように仰向けになった。


「はーーあ…」

天馬がため息だかなんだか分からないような声を出した。

「…ここで何してるの?」

何も話すことがないので、ふと思ったことを訊いてみる。

「星を、見てるの」

天馬の視線は、ずっと空を向いていた。

天馬は手を挙げて、何かを掴むような仕草をした。きっと掴もうとしているのは星だろう。

彼の瞳が星を映して光る。

「いや、円堂監督に言われてさ。俺もよく星見てたって」

照れたように笑う天馬。

「オレも見てみようと思ったら、予想以上に綺麗で見とれちゃった」

へぇ、と相槌をうつ。
僕も天馬の隣に並んで仰向けになった。



満天の星空が目に飛び込んできた。
でも、これも小さいときから見慣れてきたこの島の風景の一部。天馬が言う、『見とれる』ということが理解出来なかった。



「昔から全く変わっていない」

ふと、意識しないうちに言葉が出ていた。

「え?」

天馬は突然の僕の呟きにびっくりしたのか、星を眺めるのを止めて僕を見た。

「この眺めは昔から変わっていないんだ」

そう、昔から。
妹が居なくなる前から。

「僕達なんて、こんな星空に比べたら本当にちっぽけなんだよ」

妹を助ける。
それはこの空に比べたら、本当に小さなこと。

そんな小さなことができない僕達なんて、

「本当にちいさな、無力な存在なんだ」



天馬は黙って僕の呟きを聞いていた。

そして、うーんと首を捻り、何かを考えているようだった。



「う〜ん、オレはそう思わないけどなあ」

しばらくしたあとに、天馬はそう言った。

「この大きな星空だって、ちっちゃい星が集まって出来ているんだよ」

天馬はひとりでうんうんと頷いた。

そして、オレ馬鹿だからうまく言えないけど、と言って、

「だからオレ達だって、ちいさくても無力なんかじゃないんだ」

と続けた。




何だかまた、初めて会ったときのように笑えてきた。

僕がお腹を抱えながら笑いだすと、天馬はおどおどしながら起き上がった。

「え!?オレ変なこと言ったかな!?」

そうやっておどおどしている天馬にも笑えてくる。


「ごめんごめん」

しばらくして笑いが収まった僕は、僕が笑いだしてから終始おどおどしていた天馬に謝った。

「天馬は変なことなんて言ってないよ」

本当だから、と言いながら、理由を訊きたがる天馬をなだめる。

ただ、考え方ひとつでこんなにも捉え方が違うことに驚いて、そして笑えてきただけだ。



「じゃあ、僕は帰るね」

立ち上がり、天馬にそう言った。

彼はというと、まだ笑われていたことが腑に落ちないような顔をしていたが、僕がそう声をかけるとにっこりと笑った。

「シュウ、また明日ね!」

後ろは向かなかったが、きっと彼は最後までにこにこしていただろう。




本当に天馬は面白いやつだと思った。

君があの時代にいれば。

そう思っても仕方ないのは分かっている。

「また明日、か…」


でも、そう思わずにはいられなかった。





ーーーーー
グリフォンを見て。
シュウくんは天馬のことをなんて呼んでましたかね(´ω`)?

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