スキンシップの定義
虎丸のスキンシップは痛い。
良くいえばそれだけ好かれているということなのだろうが、会うたび会うたびに全力で抱き締められると正直辛い気がする。
「豪炎寺さん!」
がばっと抱きつかれ俺は身動きが取れなくなる。
もともと俺は人と触れ合う事が苦手で、人から触られると反射的にはねのけてしまう。
虎丸と初めて会った時は確か、腕に虎丸が抱きついてきたのを振り解いて逃げたんだっけ。
それからは毎日のように虎丸がスキンシップをしてきて、そのたびに俺が全力で逃げた。
流石肉食系小学生とでもいうべきか、めげずに抱きつかれて今はこうしていることが多くなった。
ふと今考えると、どうして虎丸に触られても平気になったのか理由が分からない。平気、というかびっくりして何もできなくなるだけだか。
もしかしたら人は、他人から触れられることによって『自分』というものを確認しているのではないかと最近思う。
だって、俺の『躰』という概念は俺だけが想像しているものかもしれないし、ただ視覚的にそう見えているだけなのかもしれない。
自分が自分は存在していると認識するには、他の他人から触れられなければならないのではないだろうか。
ということは、虎丸が俺に対してしてきてくれるスキンシップは正当なものであり、また俺にとっても大切だということになる。
例えば、虎丸が俺を壊れ物でも扱うようにそっと触ってきたら。
虎丸に抱きつかれると、あぁ痛いなと思う。
それが無くなったら。
もしくは、触れられること自体か無くなったら。
俺は俺を認識できなくなるのではないだろうか。
そう考えると、虎丸のこのスキンシップも嫌いではなくなってくる。
俺にはこれが必要なんだ。
そうだ。
そう思っておこう。
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