ああくそ、苛々する
「マールーコー!」
「ん。なんだよい」
お か し く ね ?
いやいや、絶対におかしい。
だってアイツはそもそも俺んだろ?なのに何でアイツはマルコみてーなパイナップルに抱きついてやがんだ?
え、俺って恋人だよな?
列記とした***の恋人だよな?
なんで恋人でもねえマルコといい雰囲気作ってんだ?
周りに花飛んでるんですけど。
「ねーマルコ!不死鳥!」
「はあ?てめーみてえな奴のために変に力使いたくねえよい」
「いいじゃん〜。ね、マルコぉ」
***がすげえ甘えた声でマルコに上目遣いをしてる。
なんだあれ、めっちゃくっちゃかわいい。(俺にしてくれ)
「……しょうがねえ奴だよい」
溜め息をついたあと、マルコの肩から不死鳥のツバサ(なのか、あれ?)が生えて、マルコは***を抱っこしやがった。それセクハラってんだぞセクハラ!
そんで飛び上がった二人を俺は見上げる。あーあ、何で俺火なんだろ。飛べるやつがよかった。したら俺だって***んことすっげえ高いとこまで連れてってやるのに。
クルーの奴らもどうやらそれに気付いたようで、そこらかしこから「マルコ隊長ー」とか「***ー」とか、呼びかける声が聞こえる。
俺はそんなのに聞く耳持たず。もやもやしたままだ。
(あの海軍のスモーカーって奴もこんな感じなのか?)
しばらくして降りてきたと思ったら、「楽しかったー」とか言ってすっげえ笑顔でマルコにお礼を言ってる***。
なんか俺はほんとにむかついて。
「また飛んっえ、エース?」
「悪ぃけど、貰ってく」
「ちょ、ちょっとエース!」
思いっきりマルコを睨んで、***の腕引っ張って、俺の部屋にずんずんと歩ってった。
むかつく。
こんなにむかついたのは、餓鬼の頃にルフィにでっかい高級肉とられたとき以来だ。
なんだよ。その顔。
俺にそんな顔見せてくれたことねえじゃんか。
お前は俺んだろ
マルコのじゃねえだろ
むかつく。
…むかつく、けど
「――――――――ス…!エースったら!腕いたいよ!」
「…え。あ、ああ…すまねえ」
***に腕を叩かれてはっと気付いた俺は、***の腕をとっさに離した。(あ、やべえちょっと痕残っちまってるかも)
「?…エー」
「なァ、***」
***が何かを言おうとしたようだったけど、俺は気にせずに続ける。
「おれより、マルコがすきか?」
むかつく、すげーむかつく
けど、けどよ、***が、俺よりマルコが好きだってんだったら…俺ァ…
「なァ、***…。マルコなんかんとこ行かねぇでくれ」
おれの、傍にいてくれ
やっぱり、無理だ。
お前が、他の野郎のとこに行っちまうのとか、
俺は思いっきり***を抱きしめて、首んとこに顔をうずめた。
小さくて、やわらかくて、いいにおいがして、下手に力入れたら壊れちまいそうだな***の体。(あー…おれ、今すげえ情けねえ)
「―――――馬鹿エース、」
小さく呟いてから、俺の髪に***の細い指が絡まる。
「あたしは、エースが好き。一番好きだよ。」
「だったらなんで、…」
目を合わせて眉を潜めると、***は微笑んでから「あれはわざと」と悪戯っぽくいった。
「わざ、と」
俺がきっと相当な阿呆面でゆっくり繰り返すと、***も笑って「うん、わざと」と繰り返した。
「なんだ、それ…」
あーやばい
なんかすげぇほっとしてる。
そんな俺に***はまた笑いながら、「ごめんね」と言った。
俺はそれが悔しくって、やわっこいほっぺたを思いっきりひっぱった。(お、伸びる伸びる)
「痛いよ〜」とやっぱり笑いながら言う***は、すっげえかわいくって。
やっぱりかわいくって。
すげー好きだって思った。
引っ張ってた頬を離して、少し赤くなったそこにキスをする。
「…で、なんでわざと?」
「…ふふっエース怒るから言わなーい」
「はあ!?」
なんだそれ!?と俺が叫ぶと同時に、***は俺から逃げ出して叫んだんだ。
「エースだから!」
特別、なんだよ?
Only you
(意味わからん!)
(分からなくていいのー!あ、マルコー!)
(お、***。成功したのかよい。"エースヤキモチ作戦"とやらは。)
(うん!大成功!ありがと、マルコ!大好き!)
(おいおい、…)
(マルコオォォ!!!てめえぇえ!!!)
ヤキモチやいてほしかったの。
やいてくれて嬉しいの。
エースだから。
エースだけ、だよ?