愛してるなんて言葉より
嬉しくてたまらない
不器用な彼だからこそ
彼らしいよ――…


「スモーカー 准・将!昇進おめでとうございます!」


わざと准将を強調させて言ってみる。
するとスモーカーが疲れたように机にドカッと座るので、私はスモーカーの後ろに立った。


「うるせェ、さっさと仕事しろ」


せっかく褒めてるのに、顔色一つ変えずに仕事をするスモーカーに、ちょっと腹を立てる。


「ちゃんと仕事してるじゃないですか〜」


べーッと舌を出してスモーカーを挑発する。


「それの何処が仕事してんだよ!」


私は、スモーカーの肩を優しく叩いたり、肩を揉んだりした。


「夫の日頃の疲れを癒すのが、妻の役目ですから」


微笑みながらスモーカーを見つめていると、スモーカーは怒った…
訳ではなく、フッと笑った。

え…?
いつものスモーカーなら、ここで怒るはずなのに…
仏頂面のスモーカーが笑うなんて、ありえない。
少し気味が悪いくらいだ。


「な、なに?」

「日頃の疲れを癒すのが妻の役目って言ったな?」


スモーカーは葉巻の火を消し、ニヤリと口角をあげたまま私を見つめる。

嫌な予感…
全身に寒気が走った。


「あ、あたし…スモーカーの妻じゃなかったかも〜」

「へェ…じゃあ俺と結婚しねェってことか、そろそろ式あげようと思ってたんだがな…」


っ………
バカ、それってプロポーズじゃん

突然のプロポーズに、嬉しさと戸惑いが隠せない。

普通彼はこんなこと死んでも言わない。
だって付き合い始めたのも、私が好きと言った後に「俺もだ」と言ったのみ。
だからこそ、仕事以外の会話が嬉しくて嬉しくてたまらない。


「スモーカーってさ、不器用すぎるよね」

「その男を好きになったのはどこのどいつだ」


気付けばいつものスモーカーに戻っていて、葉巻を吸っていた。


「はーい、ここにいる可愛い可愛い***ちゃんでーす」


冗談で言ったのに、やっぱりスモーカーには冗談は聞かないみたい。


「バーカ、貧乳で仕事もろくにできねェしうるせェけど、これから俺の嫁になる***だろ」


フフッ…
けなしてんのかプロポーズしてんのかわかんないよ


「…ほらよ」そう言って、微妙に頬を赤く染めて私に渡したのは、小さな箱だった。
たまたまあったとか言ったけど、ホントはずっと持ってたんでしょ?


指輪が入っていた小さな箱は、すごく温かかった。

ずっと言う機会、探してたんだね?
スモーカーって、ホントに不器用すぎる…




(君らしい不器用な言葉がいい)




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