「なあ、***!チョコくれ!」
甲板でひなたぼっこ。ちょっと眠くなってコクコクしていたら目の前には、顔。
「急に何?」
「ナミが言ってたぞ。バレンタインデーにはチョコを渡すんだ」
「誰が?」
「***が」
「誰に」
「おれに」
「だから、くれ!」
こんなにキラキラした目で見つめられてしまったら断れない。わたしがこうやって甘くなったのはきっと彼のなせる技だろう。
「いいけど、時間かかるんだからね。つまみ食いは禁止!」
「えー」
「えーじゃない!待っててよね」
「えー」
「次言ったらもうあげない」
「くれ!」
「……」
こいつはこれしか言えないのか。
仕方なくわたしはサンジくんにキッチンを借りに行ったのだった。
「なあ、もう固まったか?」
「まーだ。まだテンパリングしてるでしょ?」
「なんだそれ」
「…あー、何でもないから。大人しく待ってなさい」
大人しくしていたルフィの我慢は開始2分でぷつんと切れた(チョコがまだ固体の時にはもうねだっていた)時々あーとかうーとか呻き声を上げるがまた同じ言葉を繰り返していた。
「なあ、ま「もう型に入れて冷やしたらできるから。我慢しててね」
自分の声に被ったのが気にくわなかったのかむっとしたが、何かを思い付いたかのようにばっと立ち上がった。
「な なによ」
わたしの言葉を無視して黙ってわたしの横に立った。まだボウルに入っているままのチョコを見つめて、次の瞬間、
「おりゃ」
「はあ!!?」
なんとこの男。チョコに手を突っ込んでその指を口に入れた。しかも「あめえー!!」とか言ってるこいつは本当にばかなのだ。
わたしが怒りを募らせているとルフィはまたチョコを指に着け自分の口に運び、こっちを見た。気付けばルフィの顔がさっきよりも近くにあって、口の中に甘さがふわりと広がった。
「こっちのがあめえな」
チョコレート120%
(チョコレートよりもあまいあまい君を!)