俺は至って普通に学校にきている。授業をさぼるだなんてめったにない。外見はあれだが、まじめにきている方だ。クラスも普通(しかし一部例外有)だし、話しはするし、普通だ。

しかし(俺の中での)問題は…



「シャンクスせんせーい!資料集がないので、隣の席に移ってその隣のユースタスくんに見せて貰っても良いですか!?」
「おーすきにしろー」
「わーい、やったあ」


隣の隣の席の、コイツ。
「すごい髪!ってゆーか格好良い!すごく理想的!」
出会ってはじめに言われたのがこの台詞。正直退いた(直球すぎて)。だが、一緒にいる内に次第にそれにも慣れて今ではこいつの良いところも見つけられている。

それに―――…



「あ、キッドそこマーカー違うよ」
「あ?」
「その次の一文だよ」
「ああ、サンキュ」
「どういたしまして!」


からかわずに間違いは指摘して、間違えたときは素直に謝る。そのときに見せるうれしそうな笑顔や悲しそうな笑顔がみたくなる。俺だけに向けられているという、満足感。
授業中にちらりと隣を見ると、真剣にシャンクスの話を聞く姿。
最初はなんだと思ったが、普通にしていれば容姿はいいし性格もいい。それに気づけば俺が惹かれていくのははやくて、いつのまにかコイツの熱烈なアタックも受け止めていた。


「ん?どうしたの?早くノート書いちゃいなよ」
「ああ、そうだな」
「シャンクス先生って字きれいだよね。板書見やすい」
「あーそうだな。ワニなんかわからねェよ」
「クロコダイル先生?あれは大人の字だよねーってかキッドもでしょ」
「あいつと一緒にすんな!***よりは自信があるけどな」
「ひっどい!もうっ」


ぶすっとしながら板書をノートに写す姿をまたとらえる。ノートに写しながら俺と簡単な言葉を交わす。こうやってみると、本当に普通なんだ。いや、飛び切りではないが、普通よりは断然きれいでそこらの女よりは惹かれる。


「この作者はなー」とシャンクスが小説の重要部分を説明していると、***はノートにシャーペンを走らせた。熱心なんだなと思ってシャンクスに視線を戻すとトントンと机がたたかれ、何かと思うと***がこちらを向いてにっこりし、下を指さしていた。指の方向をみればノートに何かが書いてあった。
それを見てふっと笑う。



『今日部活ないでしょ?ボニーとキラーとゲーセン行こう♪』


俺は手元の自分のノートにサラサラと書き、シャンクスにバレないように何気なく***へと見せる。


『もちろんワニワニパニックやるよな?』

『また?ほんと、クロコダイル先生すきじゃないね』

『誰があんな奴』

『このあいだ口喧嘩して指導室いきになった憂さ晴らしでしょ?仲いいんだから』

『うるせェ つきあえ』

『はいはい わかったよ』


メッセージをみてノートから顔を上げると、***はにこりとわらった。

ま た あ と で ね

口だけを動かして言葉を紡ぐと、***はシャンクスの授業にもどった。

もう今では***がそばにいるのが、いっしょに馬鹿やってるのが当たり前で、この熱くなる想いはまだ言えずにいる。
でも***も、最初の頃よりは収まったが熱いアタックは変わらない。だからこそ安心して想っていられるのかもしれねェな。

まだ、まだ言わずにいよう。
この淡く、しかし熱い想いで、“友達”という関係で恋をしていたい。
俺には似あわねェかもしれないが、もう少し、少年のようなこの甘酸っぱい想いを楽しませてもらうぜ?






(それは俺の恋の相手)




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