「隊長、お腹痛いです」

「またかよい?お前のは特別つらいみてぇだな」

「そうなんですよ、でも薬もらいに行くのが辛くて…」

「薬って何の薬だ?」

「うわあっ!」



隊長(もといマルコ隊長)にわたしの毎月くる症状の辛さを訴えていたところで二番隊のエース隊長が後ろからひょっこりと顔を出した。
女の子らしからぬ悲鳴をあげるわたしなどあまり気にも留めず、(それもそれで傷つく)先ほどの会話の内容をのんきな顔でマルコ隊長に聞いていた。



「***どこか体の調子でも悪いのか?」

「い、いや、ちょっとお腹痛くて」

「丁度良かったよい、エース。俺はいまから頼まれてたことあるから、***のためにナースのところまで薬取りに行ってやってくれ。」

「ああ、いいぜ!…あ、でも薬ってどの薬だ?」

「ナースに***の薬って言えばすぐ出してくれるよい」

「わかった!」



勝手に話を進めるなあのバナナ頭!わたしがエース隊長のこと好きなのを知っててあんなことしやがったなあいつ!
そんなわたしの心情なんとお構いなしにエース隊長は(なぁ、)と問いかけてきた。



「は、はい?」

「なんで腹痛ぇんだ?前から痛かったのか?」

「え、あ、いや、1ヶ月に一回痛くなるんですよ。」

「なんだそれ、病気じゃねえのか!?」

「ち、ちがっ!そうじゃなくて!」




そこまで言い切ったわたしに何が違うんだと言わんばかりにエース隊長のじとりとした視線に気がついた。
ふぅ、と意を決してエース隊長に向き直るわたしにエース隊長もごくりと生唾を飲み込んだ。




「……せ、生理なんです、わたし」

「は」



わたしの一言でさっきとは打って変わったようにエース隊長は顔を真っ赤にしてあたふたしだした。俯いてエース隊長以上に顔を真っ赤にしてるわたしの前でそっぽを向きながら真っ赤な顔で焦っているエース隊長を端から見たら、酷く滑稽な図なんだろうなぁ、とぼんやり思った。



「あー、その…なんだ、」

「…?」

「そんなに腹痛いなら、おれが***専用の湯たんぽになるぜ?」



首の後ろをポリポリとかいて、片手でぎゅうっとわたしのことを抱き寄せながらちゅっと唇に触れるだけのキスをしたエース隊長にどきどきしすぎてお腹の痛みなんかどこかに吹っ飛んだ気がした。





(好きなやつのことは嫌でも気になるんだよバカ、と言ったエース隊長の耳はわたしと同じでまだ真っ赤だった。)




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