私は白ひげ海賊団二番隊隊員の***。

ナースではない女クルー、と言うこともあり個室を貰っているんだけど、この部屋に一度も入れたことのない人物がいる。それが、今目の前にいる彼。我らが隊長、エースさんだ。


他の人達は入れるのに自分だけ入れない。それを知ったエースさんは、どうにか私の部屋に入ろうと色んな方法を使ってくる…!



「いやーな、ちょっと長話になるから座って話してェなー。みたいな…?」


「座りたいなら甲板に行きましょう!」


「え!?あ、いや!大丈夫だ!!別に態々移動する程じゃねェから!」


「じゃ、このままでいいですよね?」



文句なんて言わせない!と、言う視線を向けると、エースさんが困った様に目を泳がせた。

私の部屋のあちこちを行き来していた目が、ふっ、と私と重なるとエースさんはゆっくり口を開く。



「***はオレの事が嫌い、か?」


「は!?そんな訳ないじゃないですか!むしろ…!!」


「…むしろ?」


「…な、なんでもないでーす!」




あ、危ない!流れに任せて言ってしまうとこだった!…好きですと!!!

そう…。実は私、恋愛感情という意味でエースさんが大好きなんです…。(ん?気づいてた?!んな、バカな!)

好きな人を部屋に入れるのが恥ずかしい!と言うのが理由の二割。残り七割は…




「嫌いじゃないなら、何でオレをドアよりそっちに入れてくれねェんだ?」


「あー、んー…、それ、は…」



…言える訳ないじゃないの!ドアの内側にエースさんの手配書が貼ってあるなんて!しかも、それに『I love you!』なんて書きこんでるんだもの!!絶対本人には見せられない!


そんな事を考えていると、またエースさんに呼ばれた。



「オレの事嫌いじゃねェんだな!?」


「嫌いじゃないです。(大好きです!)」


「よし、それじゃいいな!」




…何がいいの?そう思ったのと同時に、ズカズカと部屋に入ってくるエースさん。

ズカズカと…ズカズカ…、ん?んん゙!?ズカズカと!?!



「ぎゃああ!何!?何で入ってくるんですか!」


「ん?だって嫌いじゃねェって言うから、いいのかと!」


「なんて素敵な思考回路!!!」



しかも、ご丁寧にドア閉めてる!これじゃ出る時モロ見えじゃないか!!(いつもは愛しい紙が今は憎たらしい!)

後の事を考え悶々とする中嬉しそうに笑うエースさんと、私は懸命に会話をした。


どうでもいい話を暫くしていたら、それじゃ…とエースさんが立ち上がった。やばい!と思った私は、必死に頭をフル回転させる。

どうする!?どうしたらいい…!?!頭がパンク寸前だった、その時、やけに静かにエースさんが振り向いた。




「なあ、***?…あれって…。」


「…ん?」



エースさんの指の先と、エースさんの視線。そして、私の視線の先にはもちろん、手配書。て、はい、しょ…


…ひぎゃぁぁぁぁぁぁああ!さっそくバレたー!!えー!?!ちょ、えー!!




「み、みみみみ、見ないで下さい!」


「(すっげェどもってる…)あ、あぁ、悪ィ…。」



悪いと言いつつエースさんの目は未だ手配書…!(か、隠しきれない!)あぁ、最悪だ!ど、どうにか忘れてくれないだろうか…!どうやって…!?


泣きそうになりながら考えてみると、一つの案が浮かんだ。



そ、そうだ!!とりあえず…!





記憶力抹消法

殴ってみましょう!


(いってェ!何すんだ!海楼石入りのピストルで殴ったな!?)

(見なかった事になるかと…!)

(無茶すなァ!オレは忘れたくねェんだぞ!?)

(…え?)





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