両親が決めたお見合いは、順調に進んでいた。
お見合いなんて絶対嫌だと言い張っていた私だが、相手方のお坊ちゃんがまた美形だったもんで一瞬で心変わり。
向こうさんも乗り気だったみたいで、あれよあれよと縁談は進み、今度は若いもんだけで会わせましょうか、なんて!
そして本日、ふたりきりのおデート当日。

「・・・振られた」
「早っ!まだ出掛けて1時間しか経ってねぇのに?!」
「死にたい」
「ちょ、おま、一体何をした?!」

私はがっくりと肩を落として本部に戻ると、タバコ休憩中のヘルメッポさんに愚痴を漏らした。

「何にも思い当たる節がないんだわー。海賊がのさばってたから、ちょっととっ捕まえたくらいで」
「いや、原因の9割ソレだろ。淑やかな女は、ちょっとで海賊を捕まえねぇ」
「しかもえらいこと言われた。闘牛のようなお嬢さんとは付き合えない、とか言われた。死にたい」
「闘牛っておまえ・・・じゃじゃ馬をはるかに凌ぐな、オイ」

深いため息を吐いて、壁に寄り掛かる。薄い布越しに伝わる冷たさが心地よい。
ヘルメッポさんを見やれば、何がツボったのか「ひぇっひぇっひぇっ」と独特な笑い声を上げている。
こちとら真剣に落ち込んでいるというのに、慰めのひとつもないなんて友達甲斐のない男だ。
イラつきにまかせて脇腹を思い切りどついてやると、ヘルメッポさんは綺麗に吹っ飛んで向かい側の壁に壁画の如くメリ込んだ。ざまぁ。

「いっでぇな!そんなんだから振られるんだろうがよ。原因の残り1割は可愛げのなさとキッツイ性格と、あと力瘤ってとこだな」
「チッ。ヘルメッポさん絶滅しろ」
「振った男じゃなくて、俺が絶滅?!」
「美形は世界の宝なんだから、そう簡単に絶滅されてたまるかっての」
「美形美形っておまえ、いくら美形だからっていい男とは限らねぇだろうがよ」
「赤髪に激似の美形だったっつーの。なまら格好良かったっつーの」
「だからっておまえなぁ。腕っぷしひとつで女を振る男なんざ、中身がたいした男じゃねぇんだろ。振られて正解だ正解!気にすんな」
「うっ・・・慰められると泣きたくなる」
「それに、あー、まぁ、あれだ」

ヘルメッポさんは、愚図る私の頭をぽんぽんと叩く。

「まー、あの、なんだ。行き遅れたら、特別に俺が貰ってやるし?」
「・・・え?」







「えぇ、まさかのヘルメッポさんフラグ?マジちょっと、ごめんなさい。私B専と違うんで」
「んなっ?!おま、ここは素直に喜んどけや!」
「・・・ねぇ、スモーカー准将って彼女いると思う?」
「ちょっ、***てめぇ空気よめぇっ!」


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -