鬼道さんと庶民生活 | ナノ





「みんなで銭湯行こう!」


今日はみんなで円堂の家でお泊まり会。確かにこの大人数(なんてったって雷門サッカー部が集結)なわけだから銭湯に行く方が間違いなく早いだろう。


「円堂!一緒に「はい塔子はこっちね!あんたも女の子!」


ぞろぞろと男湯に流れていく流れに沿っていこうとする塔子の首根っこを掴んで引き寄せる。するとただ一人、その流れからはずれていた人物と目があった。鬼道だ。あたしは秋に塔子を預けて鬼道の元へ駆け寄る。


「鬼道、何してんの?」

「…いや、」


着替えを忘れたわけでもなさそうだし、バスタオルも受付でもらっていたのをあたしも見た。それなのにどうして中に入らないのだろう。


「苗字」

「はい?」

「ここは、どうしてこんなにも人が引き付けられるんだ」

「…は?」


あたしの頭の上にはきっと、大量の疑問符が浮かんでいたに違いない。何だって?人が引き付けられるってこの奥お風呂だし、とは言えない。鬼道は本気だ。本気でこの奥にはエイリア石みたいな人を引き付けるものがあると思っているんだ。


「え、っと…」

「苗字もわからないのか…それなら尚更必要だな」

「……何が、?」


腕を組んで、「男湯」の暖簾をじっと見る鬼道。あんた頭よかったよね…?「おとこゆ」って読めるよね…?次に鬼道が何を言い出すのかもう心配で仕方ない。


「この先は何があるかわからないだろう?だから、心の準備が必要だと思ってな」

「そんなのいらな…」

「これだけの人数の人間を使って何か悪質なことをする奴らのアジトかもしれない」


誰か、ほら、円堂とか。鬼道の腕を引いてこのなかが安全なお風呂だって教えてあげてよ。


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -