今日のお昼は朝から早起きしてつくったお弁当だ。四角いお弁当の蓋をはずして姿をあらわすふりかけのかかったご飯とおかずのいくつか。ちなみに、コロッケと春巻は冷凍食品。
「苗字」
「な、にさ…鬼道」
お箸を手にさあ食べようと思ったときだった。いつも一緒に食べるメンバーのなかの一人である鬼道はあたしのとなりに座り、あたしのお弁当を、いや、コロッケと春巻に目が釘付けだ。どうしたのと聞けばそれはなんだと返される。え、食べ物でしょと言えばそれくらいわかると溜め息をつかれた。
「どうみても、小さすぎるだろう」
その言葉でやっとわかった。冷凍食品のふたつは自分でつくるものより遥かにサイズが小さくて、鬼道はそれに疑問を抱いているらしい。が、普通冷凍食品だってわかるんじゃないか、普通。会話を聞いていた秋や豪炎寺を見るとなんだか苦笑いを浮かべているように見えなくもない。…まさか。
「鬼道あんた冷凍食品知らない…?」
「冷凍食品?凍らされた輸入品のことか?」
「いや、輸入品って…」
だめだわ、こいつ。