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街の地下鉄よりも地下にある暗殺専門集団『時雨(しぐれ)』の本部。
そこで俺は、再開した。
幼いときここで共に生活した、神威に。
「なんで……なんで…神威がここにいるんでさァ!」
目の前に佇む神威を見上げながら叫んだ。
頭のどこかでこれは夢であって欲しいと願うが、紛れもなく、
これは現実。
俺の神威に対する反応に「知り合いか、誰だ‘そうご’って」と隣にいる刑事が聞いてきたような気がしたが、返事なんてできる訳がなかった。
そんな俺の代わりに神威が答え始めた。
「……俺と…あ、怪盗ナイトの本名は沖田総悟って言うんだけど、俺と総悟は6年前までここで暮らしてた仲なんだ。」
「な!?ここって時雨じゃねぇか!」
神威がため息を零す。
「…ハァ。刑事さんもしかしてバカなの?文脈から察してよ。」
「…っんだと「神威!」
刑事さんの怒号を俺が遮った。
「まだ俺の質問に答えてねェ!俺は何であんたがここにいるのかを聞いてんでさァ!」
怒鳴ったせいか、一気に喋ったせいか、動揺しているせいか、息が切れている。
肩で息をしている俺を目を開いて神威が凝視してくる。
やがて、クスッと笑い、目をいつものようにした。
そして口を開く。
「…いいよ。教えてあげる。そのかわり」
チラッと刑事さんの方を見る神威。
「警察の方には席を外してもらうよ?一応ここも組織だから。」
「……刑事さんに何かあったらただじゃ済まさねぇからな。」
釘を刺しておく。
俺の言葉にふ〜ん、と零しもう一度刑事さんを見て俺を見下ろす神威。
「…よっぽどこの刑事さんが大切なんだ。よし、分かった。」
そう言うと神威は部屋の扉を開けた。
そこに立っていた人は全身を黒で覆っていた。
服の左胸あたりに、赤黒い雫に白の雲がたなびくマーク。
「「お前っ……あの時の!」」
その姿を見るなり刑事さんと俺が反応した。
そんな二人に神威が、お?という顔をする。
「お二人さん、何処かで会った事あるの?」
神威が聞いてくる。
一方俺は。
その黒い奴の…目を睨んでいた。
昔見た…光が宿っていない目。
そして最近…襲撃されたときに見た目、ここに連れてこられたときに見た目。
俺と神威は確かこう形容した。
――『人形のようだ。』
俺達の反応に少し考え、あぁそうかと一人納得する神威。
「こいつに、総悟達を連れてくるよう命令したんだった。」
なるほど、だから二人とも見たことあるんだな、と呟く。
「……な…で襲…た……さァ。」
「ん?」
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