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「…ぃ!……ろ…!」


微かに聞こえてくる声。

―…誰、だ?
薄く目を開けると、ぼんやりと黒が見える。


「おぃ!しっかりしろ!」

「!!」

それは、あの刑事さんだった。

「……刑事、さん。」

「やっと起きたか。お前大丈夫か、うなされてたぞ。」

「………大丈夫、でィ。」

ゆっくり上半身を起こそうとするが、上手くできない。

「?」

見れば、足が縛られており、両腕も後ろで縛られていた。しかも何か機械っぽいもので。

「これは……。 !」

思い出した。
確か、アイマスクを探してて。

妙な奴と出会って人質を取られ気絶させられたんだった。

つまりここは、

―…あそこ、か。


さっきまでの夢が鮮明に浮かんでくる。
機械じみた部屋に、俺と刑事さんが二人。
他には何もない。
扉は閉められている。鍵もかけられているだろう。当然か。


「……お前、ナイト、だよな?」

左にいる刑事に尋ねられた。

「………そうでさァ。」

「なんでここにいんだ?」

「刑事さんを人質にされて連れてこられたんでさァ。理由はよく分かりやせんが………そういう刑事さんは?」

「……俺もわかんねぇ。気味悪い奴に無理矢理連れてこられた。そもそもどこなんだよここは。」

「…………時雨(しぐれ)。」

ポツリと呟いた。

「?」

「この町の地下に存在する暗殺専門集団時雨の本部でさァ。」

「!? まじかよ…。ここが…!―――て、なんでお前そんな事知ってんだ?」

言うべきかどうか迷う。
迷っている間に自然に口が開いた。



「………俺は昔「目が覚めたみたいだね。」

ビクッ。
突然の声に身体が震えた。
――違う。

突然の声だからじゃない。

―…嘘だ、嘘だ、嘘だ!


誰かが扉を開け中に入ってくる。

「さっすがは刑事さん。目覚めるのが早いね。」


ドクン、ドクン、ドクン。
心臓が激しく鳴っている。

『一緒に寝よ!』
『ゴメンゴメン。力入れ過ぎたかな?』
『あ〜!師匠ずる〜い!俺も抱き着く!』


―…そんな………ありえねぇ!あいつがここにいるわけ…





俺達の目の前にそいつは佇んだ。


珍しい色の―――オレンジ色の髪の毛を三つ編みにしているその人物。
服の左胸には赤黒い雫に赤い雲がたなびいているマーク。


「久しぶりだね。」


オレンジがクスッと笑った。

「会えて嬉しいよ。――――――‘ソウゴ’」




「…か……神…威……――。」





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