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「……で、その刑事がナイトだという確証は?」

焦げ臭い髪の毛をいたわりながらの質問。

「髪の色。」

拳銃をしまいながら高杉が答える。

「あんな亜麻色の髪の奴ぁ、そんなにうじゃうじゃいねぇ。それに俺を見て逃げた。本物の刑事なら逃げる必要性もない。」

こんだけ目付きが悪い奴に腕掴まれたら誰でも逃げ出したくなるわ。

「刑事の格好してたってこたぁ、あの光った瞬間に化けて俺達の中に紛れこんだって訳か。」

あの瞬間の事を思い出しながら呟く。

「確証はもう一つ。」

そう言って高杉が螺旋階段のほうへ歩き出した。
黙って後ろを歩く。


ベランダに行くための5枚あるうちの真ん中の大きい窓(どちらかといえば扉)の前にある通路の。

床にある窓ガラスの破片の中に混じっている赤黒い、血の飛沫。

「なんだこりゃあ…!」

よく見ると窓が付いた壁、手すり、下の床(ナイトが落ちた辺り)にも付着していた。

「ナイトは怪我してたんだよ。」

「!!?刑事の誰かが撃ったのか!?」

「いや、あの時銃声はなかった。誰も撃っていないのに、なぜか窓ガラスが割れた。破片は外のベランダにはほとんどなく、逆に部屋の中に幾多も飛び散ってる。」

高杉がベランダに視線を向ける。
つられて俺も視線を向けた。

「外から何かが入ってきた。そう考えるのが妥当だ。」

俺の前に差し出されたジッパー付きの袋。

中には血まみれのあのアイマスク。

「!!」

「これが、もう一つの確証。奴が飛び乗った屋根にあった。」

黙ってそれを受け取り、じっと眺める。

「それと今はもう無くなってしまったんだが…氷でできたクナイみたいな血のついた奴も落ちてた。」

「……つまり。」

「ナイトは外から何者かに襲撃され、怪我を追った。」

高杉がまたベランダを見る。

「この事……うえ(上層部)に報告すべきか?土方。」

「いや、報告しなくてもいいだろう。今回の事件にこれは関係ねぇ。元々ナイトを追ってんのは俺達だ。報告すべきかの判断はその時点で俺達に任されてる。『奴にまたもや逃げられた』そう伝える。」

これは俺が持っておく、と言いながら俺は袋を胸ポケットにしまった。


―……一体誰が、ナイトを狙ったんだ?

何のために?




考えにふけるがすぐに行き詰まる。



その後、血を拭き取り俺達は本部へ帰った。





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