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「…っはぁ…はぁっ!」
やっとの思いで奇捜班を振り切り、自分の家に駆け込む。
家賃が安いボロアパート。勿論窓から入る。
こんな姿を誰かに見られたらまずい。
―…とにかくまず止血だ。
引き出しをガサガサ漁り、止血道具を出す。
なんとか止血をし、疲れが出たのか、布団に倒れこんだ。
ずきずきと左腕が痛む。
目をつぶり、アイマスクをかけようとポケットに手を伸ばすが、ない。
「!?」
―…どっかに落としたか。
明日探しに行かねーと。
明日、『マヨリョーシカ』を宅配便でロシアに送ってから、警察に自首しようと考えていたが、やらなければならないことが、増えてしまった。
―…あの襲撃者。
あいつは俺を狙っていたんじゃない。
警察を狙っていたんだ。
しかも、もしあのまま突っ込まなかったら丁度奇捜班の誰かに刺さっていた。
いや、元から奇捜班を狙っていた…?
どの道、あいつはただ者じゃないってことは確かだ。
振り向きざま、視界に写った人物の服の胸当たりに刺繍されていたもの。
―…嘘、だろ…。
赤黒い雫に、白い雲がかかったマーク。
胸の奥が、ズキリ。
脳裏にあるのは
長い銀色の髪。
(Target3完)
(Target4へ続く)
→後書き&次回予告
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