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―…ざっと見、50人程かねィ。

警察の上の偉い方も、よくもまぁこんなに奇捜班に人員を派遣したものだ。


「ナイト!無駄な抵抗はやめて大人しくそこから降りてきたまえ!」

奇捜班の人の声じゃない。
派遣された刑事だろう。

そんな事言われたって俺は捕まるわけにはいかない。
俺には

―…まだやるべき事があるんでィ。

「すいやせーん。俺はまだ捕まる訳にはいかないんでさァ。」

「何を言っている!大人しく我々に従わなければ撃つぞ!」

たくさんのジャキッという音が聞こえてきた。

殆どの刑事が銃を構えたようだ。
―…別に銃なんて怖くねーんだけど。

銃を構えていないのは、さっきから声を張り上げているインテリ風の刑事。
それと

―…あ、奇捜班だ。

黒の長髪の刑事と黒の短髪の刑事。
それと、左目に眼帯をしている前撃ってきた刑事。

前怪我をさせてしまった銀色の髪の刑事はさすがにいないようだ。

―…眼帯のあの刑事、絶対俺に銃口向けてると思ったんだがねィ。

眼帯の刑事はいぜんとして、俺を見上げている。

「そちらが動かないのなら、こちらから行くぞ!」

そうインテリ風の刑事が叫ぶと、何人かのこちらに向かう足音が聞こえてきた。
階段を使うつもりらしい。
そろそろ逃げようかと考えていた矢先、俺の意識範囲に何かが引っ掛かった。
明らかに人の気配。
なのに…感情が入っていない視線。

侵入するときに感じた視線だ。

―…どこだ!?どこにいる!?

気配を探ると窓の外…俺の後ろの斜め上。

左側から振り向こうとしたとき、窓の外から確かに聞こえた。

空間を切り裂く、音。



――ガシャァアン!!!!

「なっ…!」


窓を割って尖った塊が入ってくる。

刹那。
窓の破片が飛び散る中、一つの尖った窓ガラスではない10センチ程の塊が俺の目の前を通りすぎた。


―…あれ?

このままこれが飛んでったら……
先には警察の方。



―――――まずい!!!




咄嗟に左足を蹴り、左腕を伸ばした。

―――グサァ!


左二の腕に焼けるような痛みが広がる。

「ぐぅっ……!」


そのまま手すりを飛び越え、床に真っ逆さまに落ちていった。


受け身もろくに取られず、殆ど直撃の形で床にぶち当たる。

幸い、身体から嫌な音は聞こえなかった。

だがすぐそこまで刑事が駆けてきている。


急いで右手でアイマスクを光遮断モードに切り替え、その手で閃光弾を放った。





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