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そう言って自分のパソコンを立ち上げた。

「…ヅラ、『立ち上げた』つっても本当にパソコンに足が生えて立ち上がった訳じゃねーぞ?」

上を見上げた桂に高杉がツッコむ。

てか、なんで俺の語り聞こえてんだよ。

「これ…ナイトに盗まれた物品リスト。」

そう言うと桂と高杉が俺の背後から画面を覗きこむ。

画面に写っているのは


『ワヤの石碑』
『パプペポンの柱』
『ヒマラヤ山脈の金塊』
『フィラオのバンテージ(包帯)』


それぞれ写真も添えてある。


「まず最初の『ワヤの石碑』。これは俺達がまだナイトを知らない時、多分ナイトの初犯だな。」

「ほぅ…。ワヤ文明の石碑か。よくもまぁ、そんな大層なものを仕入れたものだな。」

「で、見て欲しいのが……このサイトの写真。」

カチカチとクリック。

別のサイトに移動し、ある1枚の写真を拡大する。


広大な野原にドンっとおいたような縦5メートル、横3メートル、幅1メートルの少し汚れた直方体の石の塊。
それに一辺30センチぐらいの石碑が埋め込まれており、それぞれの石碑の表面をよく見ると何か文字や絵が彫り込まれている。
石碑の数は縦10枚×横6枚=60枚。


「この60枚の石碑の中の…この部分。」

そう言いながら俺は写真を指差す。

「ここだけ…この1枚だけ色が他と違うんだよ。」

「この右端下のやつか?」

「俺には他と同じ色に見えるぞ。」

「それが…解析した結果、これだけ最近に造られたもんだったんだよ。」

「「…?」」

「―……つまり、この石碑だけ偽物。」

「!」

「どういう事だよ土方。」

「…これはあくまで俺の推察だがな……あの館長、裏でやばいとこと繋がってる。」

「やばいとこ…?」

「闇市とかか?」

「あぁ…。俺の考えなんだがな、館長はその品を自分の美術館で飾るため、犯罪に手染めてんだよ。
『ワヤの石碑』だけじゃねぇ。
『パプペポンの柱』は現地の人が快く譲ってくれたとかぬかしてやがったが、俺が質問したときに顔色が一瞬変わっていた。
多分現地の人を脅したんだろうな。
『ヒマラヤ山脈の金塊』も。
『フィラオのバンテージ(包帯)』も。

…今回の『マヨリョーシカ』もな。」

「その話がもし本当だったら、館長を牢屋にぶち込まなきゃなんねーな。」

「……だがそれには証拠が少なすぎる。そういう事だろ土方。」

「あぁ。…あの非道な館長のことだ。証拠はなるべく残さないようにしてるだろーな。」

……倒れている部下よりも自分のコレクションの方が大事なのだ。あの男にとって。


非道が。

「…それともうひとつ。これは警視庁のファイルん中から見つけたやつなんだけど……。」

カチッとクリックする。





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