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「一応病院には行ってくだせィ。まだ他にどこか怪我してるかもしれねーんで。」
「あぁ…分かった。」
そう返事するとナイトはあ…と言って俺の髪を触った。
「髪の毛……銀色なんですねィ。」
そのときのナイトの表情。
悲しげな、淋しげな、何かを懐かしむような……そんな表情。
「!す、すいやせん…。」
そう言って手を離した。
「い…いや。」
何だよ………今の表情(かお)。
「じゃあそろそろ行かせてもらいまさァ。」
ナイトは上着を着、何かを拾った。
アイマスクだ。
それを付ける。
「あ、あと頂きやしたぜィ。これ。」
俺の目の前にブラブラ掲げられたのはあのケースの鍵。
い…!いつの間にぃ!?
「実はまだ盗んでねーんでさァ。」
「は!?でも確かにさっき…」
「あの偽物の包帯は百均で買いやした。」
ええええええ!?
「で、でも土方がケースの中は空だって…」
「あれは簡単なトリックでさァ。あなたが引っ掛かったコードあるだろィ?あれ実はあの端っこにある何個かの中のケースの一つとも綱がっていたんでィ。そしてあのコードはあの窓まで届くくらい長くて、しかもケースを乗せてる台は動く。」
説明を始めるナイト。
「窓に立ったとき、奇捜班の方の弾を避けながらコードを少しずつ引っ張っていってたんでィ。向かって左から
壁 空 空 入 窓
という順番だったのが、コードを引っ張ったことにより
壁 空 空 入 窓
となりやす。
これがトリックでさァ。」
読者に伝わらなさそうな説明だなオイ。
「本当は奇捜班全員が去ったあと、盗むつもり(針金で鍵開けて)だったんですがまさかまだ残ってるとは思わなかったんでィ。怪我させちまって本当に申し訳ねぇ。」
頭を下げるナイト。
……こいつ本当に犯罪者かよ。
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