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その後。

気絶していた警備員の話によると、知らない警備員に名前を聞いたらその途端気絶したらしい。


「怪盗ナイトと最後に名乗っていました。」

「そいつの特徴は?」

「顔は帽子を深く被っていたのでよく見えませんでしたが、亜麻色のような髪の色をしていました。」

「…そうか。ご苦労だったな。」





本部に戻った俺達を待っていたのは上層部(うえ)からの説教。

ナイトを捕まえられなかったこととに美術館の扉の破壊のことを1時間近く。




やっと終わり、奇搜班本部へ戻って報告書。


「だ〜っ!もうこんなん書けるかってんだコンチクショー!」

坂田が机の上に突っ伏す。

「しょーがねーだろが。捕まえられなかったんだから。」

ペンをくるくる回しながら高杉が言った。

「でもよ〜。あーんな事、どうやって文章にまとめりゃいいんだよ。難しすぎるわ。」

坂田が報告書に『捕まえられなかった。おわり』と書き込む。

「銀時、それ以上紙無駄に使ったら減給。」

「…今月毎日カップラーメンだな。」

絶望感が漂う坂田。


仕方ねーな。扉壊したの坂田だし。

「そういうヅラはちゃんと書いてんのかよ?」

坂田がむくっと顔をあげる。

「書いてるぞ。ほら。」

紙を渡す桂。
紙には『また会いたい。おわり』の文字。


「「「…。」」」


坂田が無言でビリッと紙を破った。

「な!何をするかぁぁあ!銀時!」

「うっせーよ!何だよこれ!」

「見てわからぬか。俺の心境の報告書だ。」

「はぁぁ!!馬鹿言ってんじゃねーよ!なんであんな奴と会いたいなんて思うんだよ!普通ムカつくだろ!」

「ナイトのどこにムカつくというのだ?」

「な〜にが『ヒマラヤとヒマヤラは紛らわしい』だっ!どこぞのアニメのサブタイトルみたいなこと書き置いていきやがってよぉ!あいつぜってーわざと『ヒマラヤ』を『ヒマヤラ』って書いたぜ!?完璧に俺らを馬鹿にしてんじゃねーかぁぁぁ!!!」

そう言いながら机をダンと叩く。

「もう次から奴殺す気でいこーぜ!これ以上馬鹿にされてたまるかぁぁぁ!」

「落ち着け坂田。一度会ったら分かるから。」

「何にだ土方!何に分かるんだよ!」

「え?そりゃあその…奴の魅力?」

「ついに頭にマヨがまわったか土方。そんなん分かりたくもねぇぇわぁぁあ!」
「そういや、てめーら似顔絵描かせたのか?」

今まで黙々と報告書に取り組んでいた…のではなく、ペン回しをしていた高杉が喋りだした。

「あぁ。いちおーな。」


実はさっき、怪盗ナイトを見た俺と桂は警察の中で絵を描くのが上手い人にナイトの人相を描いてもらったのだ。(警察官が顔のパーツを描くにつれ『もっと目を大きくくりっと!』『顔はもっと細くて童顔に!』と二人でダメ出ししまくった。)


「で、結局どんなのになったんだ?」

「ほいよ。」

そう言って人相書きを高杉に手渡す。

「…警察官は少女漫画志望だったのか?」

高杉が呟く。

無理もない。その紙には少女漫画の主人公のように目がキラキラ、睫毛バッチリ、小顔の人間が描かれていたのだから。

「こんなんじゃあ、上層部(うえ)に報告できねーな。」

紙をまるめてごみ箱に投げる高杉。

「そもそもあんな可憐なお方、絵に描けまい。あぁ、もう一度会いたい…!」

「「「もういいわぁ!」」」






今回のTargetは捕獲できず、結果惨敗。




(Target1 完)

(Target2へ続く)









→後書き





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