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「おぉ〜い。こっちはな〜んの証拠も出なかった〜。」
俺達が館長の言葉に呆気にとられていたらトイレに行っていた坂田と高杉が帰ってきた。
「土方ァ〜。上の文だと俺らが普通に小便しにいったみたいな感じじゃん。俺らは調査に行ってたんですぅ〜。」
「んなこと言ってる場合じゃねぇんだよ!」
なんとか坂田にケースの文字が違うことを告げる。
「ふ〜ん。なんでだろうな。 ただ単に書き間違っただけだろ。」
「んな訳あるか!」
「あれ?警備員一人いなくね?」
「真面目に考えろや!」
「警備員なら走って館長を呼びに行ってくれたのだ。」
…桂の顔が赤いのは無かったことにしてェ。
「そうなのか?館長?」
坂田が言った。
「えぇ。走ってきたので非常事態だと直ぐに察せたわ。」
「走って?土方、それほんとか?」
「あぁ。タタターッと走って出ていった。」
「それおかしくね?普通気失った後ってすぐ走れるもんじゃないだろ。」
坂田が怪訝な顔をして言った。
……… 確かに坂田の言う通りだ。
気絶した後は頭が中々働かないから身体も思うように動かないはずなのに。
なのに、あいつはピンピンしてた。
「なぁ、結局本物は『ヒマラヤ山脈』なんだよな?」
今まで部屋を歩いていた高杉が部屋の入口右端のところでこちらに背を向けながら言った。
「おぅ。」
「ならここに『ヒマラヤ山脈の金塊』のケースあるぞ。」
「「「「なに!?」」」」
高杉のほうへ走る4人。
「まぁあるのはケースと中に入っているカードだけで、金塊はどこにもねぇがな。」
高杉の言う通り、ケースの中にあるのは何か書かれたカード。
『「ヒマラヤ」と「ヒマヤラ」って紛らわしい
怪盗ナイト』
最後には黒の目玉みたいな絵。
その場にいた全員が声を揃えて言った。
「……ヤラレタ。」
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