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「さて、と…。」


そう言って俺は気絶させた警備員を肩に担ぎ、部屋の入口近くに寝かせる。


しっかし…前に柱を盗みにきたときも思ったけどこの美術館警備弱すぎんだろィ。

警備員の数もっと増やしたらいいのにねェ…。

まぁあの汚い館長はそんなことに金を費やす気はないだろう。



………あんなことを平気でやる奴なのだから。



とにかく、後30分で獲物を盗み、ここを脱出する準備をしなきゃねェ。











まず、部屋の入口右端に置いてあるいくつかの空のガラスのケースのうち一つを入口前に引っ張ってくる。


そのケースの向かい側の右上らへんに『ヒマヤラ山脈の金塊』と書かれたプレートを腰に付けてあるミニかばんから出して本物のケースと同じ向かって右上に貼付ける。これで偽物のケースの出来上がり。

そしてさっき気絶させた警備員のポケットからケースの鍵を頂戴し、本物の『ヒマラヤ山脈の金塊』と右上にプレートが貼付けられたケースを開け、中の金塊を掴み、ミニかばんにしまう。

金塊をかばんにしまうかわりに出したのは名刺程のカード。
それをケースの中に入れ、鍵をして警備員に鍵を返却。

カードを入れたガラスケースを入口右端に持っていく。

―――これで大丈夫。


一応外にいる奇搜班の方々の人数を把握しておきますかねィ。

そう思って俺は一見普通なアイマスクの右側にある小さなボタンを軽く押す。


このボタンを押すと、アイマスク越しに壁などを透かして壁の向こう側を見ることかできるようになる。



―――4人か。
なんというか…個性的な方々だ。
十人十色とはまさにこのことだなと考えていたら時刻は53分。



アイマスクを外し、ミニかばんにしまう。


警備員の帽子を被り、気絶している警備員の近くに横になる。


なんか外が騒がしいが無視しよう。



そして、警備員の懐中電灯を思いっきり――――さっき『ヒマヤラ山脈の金塊』のプレートを貼った空のガラスケースに――――投げ付けた。





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