Page7



ここは『ヒマラヤ山脈の金塊』が置いてある部屋。


俺はこの部屋を同じ警備員の一人と巡回していた。


…といっても、ただ単に金塊の見張り役なんだが。


「おい、今何時だ?」

そろそろ10時を過ぎたころだろうと思い、右隣りにいるもう一人の警備員に聞く。

「10時20分です。」

答えるもう一人の警備員。



…にしてもこいつ、帽子深く被りすぎだろ。
俺も帽子は被っているがこいつ程顔が見えないくらいに深くは被ってない。

帽子からは微かに亜麻色の髪が見える。


…そもそも、こんなやつ、警備員(俺達)の中にいたか?


朝のミーティングの時も新人が入ったとかは館長言ってなかったが。


たまり兼ねて、横顔に俺は聞いた。

「なあ、お前って今日入ってきたのか?」

「…。」

「おい、聞いてるのか?」
「…俺の名前を知りたいのですか?」

「あぁ。」

「…俺の名前は」


その瞬間、首のほうに衝撃が走った。

「なっ…!」

ぐらっと自分の身体が前に崩れ、床に倒れ込む。

後ろを見るとさっきまで横にいたはずの警備員がいた。


「何しやが…」


文句を言おうとしたが、激しい目眩を覚える。


段々視界が暗くなり、焦点が合わなくなってくる。

「俺の名は…」

意識を手放しかけた時、そう言って目の前のやつが帽子を脱ぐ。



――目があるだろう部分には、目玉が書かれているアイマスク。


「怪盗ナイトでさァ。」





俺は気を失った。





prev next



- 16/105 -




TOP
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -