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それで現在(10時50分)『ヒマラヤ山脈の金塊』がある部屋のまえに至ると言うわけだ。


「土方回送シーン長すぎ。1ページ前の冒頭で10時30分だったのに、もう50分じゃねーか。」

坂田の文句。

「うっせーな。別にいいだろが。この話の語り手は俺だ。」

「語り手語り手言ってるけどさぁ〜。お前の情景描写?みたいなの、分かりにくいんだよ。時々入ってたヅラの例えのほうがよっぽど分かりやすかったわ。」

「んだと、やんのかオラ!」

「やめぬか、二人共!仕事中だぞ!それと俺はヅラではなく桂だ!」

「うっせーんだよ!真面目くんは黙ってろや!」

「貴様ぁ!俺の名前は真面目くんではなく桂だと何度言ったら分かるんだぁぁ!」


三人取っ組み合いの喧嘩を冷めた目で見ている高杉には気づかなかった。


だから、部屋の中から聞こえてきたガシャンという何かが割れた音にも―――――気づかなかった。





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