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…………今は夜の10時30分。
俺達奇搜班は今美術館のとある所にいる。
ここに来るのは今日で2回目だ。
昼間に来たとき、この美術館のでかさに驚いた。
どのくらいでかいかっていうとまず建物が5階建てでレトロな感じの白い板?みたいなのでできている。
あれだ、よく学園漫画とかで出てくる校舎あんだろ?
あの校舎の真ん中辺りに空に出っ張ったところに時計がある校舎。
あの壁を白くして縦を高く、横を思いっきり伸ばした感じ?(桂が『北海道にある時計台をもっと大きくしたバージョンだ。』とか言っていた。)
…建物の端が見えねぇんだけど。
そして奇搜班の目の前にベンツ(最高級車)でこの美術館の館長(小太りな)が現れ、中を案内してもらった。
中を歩きながらとこのつぼはどこどこで手に入れただの、あの絵は何億円で落札しただのということを延々と聞かされた。
途中で坂田と高杉は飽きて『トイレに行く』とか行ってどっか行っちまいやがった。(つまり逃げた。)
俺だってこんなどうでもいい自慢話聞きたくもないが仕事上逃げるわけにもいかねぇ。
真面目な桂と共にうんざりな気分で案内してもらう。(もちろんそんな心情は顔に出さない。)
と、ようやく『ヒマラヤ山脈の金塊』が置いてある部屋に辿り着いた。
5階建ての最上階、5階。
中には10個程のガラスのケースがあって、入口右端には空のガラスのケースが数個。窓は一つもなく、部屋の広さは…披露宴とかやるホテルの式場ぐらいか?(桂いわく『学校の教室6個分ぐらい。』)
トイレも部屋の入口から左奥のところにあった。(そこには窓があった。)
その中の一つ、『ヒマラヤ山脈の金塊』とケースの向かって右上にプレートが貼付けられた前に立つ。
入口真正面のところ。
そこには握りこぶしぐらいの金の塊が入っているケースがあった。
「これは、ヒマラヤ山脈の近くにあった町の町人に貰ってね。日本に持ち帰ってみたらなんと金でできた…」
ダラダラ話し始める館長。
俺は適当に相槌を打つ。
「それで、ここの警備はどのようなものですか?」
桂が館長がちょうど話し終えたのを見計らって聞く。
「警備?警備員しか雇っていないわ。まぁ今日はこの部屋には二人配置するがな。」
「…あの〜、失礼ですが防犯カメラとか赤外線とかは…」
「そんなものに金を使うならもっとマシなことに金を使う。警備員の人数もできるだけ少なくして今は5人しか雇っていないわ。」
「そんな警備だから柱盗まれんだよ。」と言いたいのをぐっと堪える。
「なぜ、そのように人数を減らしたのですか?」
「そんなこと、公務員の貴方がたのほうが分かっとるだろう。この不況の世の中、経費削減でもしないとやっていけんわ。」
…給料も出来るだけ少なくしてるってわけか。ケチな野郎だぜ。
このくらいで大丈夫ですかな、と館長が言ったので俺は少し疑問に思っていたことを聞いた。
「それにしてもよく『パプペポンの柱』を手に入れましたね。確かあの建造物、世界遺産とかそのへんのやつに登録されてたはずだが…。この金塊もだが一体どこで手に入れたんですか?」
俺の質問を聞いて―――――― 一瞬。ほんの一瞬だけ館長の顔が変わった。まるで、なにかまずいことでも言い当てられたときのような…。
だが、すぐにこりと笑い
「現地の方が快く引き渡してくださったんですよ。」
と言った。
反応が引っ掛かったがとにかく夜までここには用がないので、館長に礼を言い(案内してもらったから)美術館を桂と後にした。
奇搜班本部に戻り、桂と作戦を練っていると高杉と坂田が帰ってきた。
二人は美術館で迷子になったらしく、ベンツでここまで送ってもらったらしい。
なんか忘れてるなーと思ってたが。
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