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第1場面
(美少年舞台に仰向けに寝ている。手のひらは胸の前で恋人つなぎのように組む。王子舞台下手から登場)
ナレーション(通りすがりの猫)『ここはとある国の王が住んでいる城の屋上。王の息子の王子はここで運命の出会いをする。』
王子『はぁ〜。母上は早く結婚しろだの、後継ぎつくれだのうるさいし、父上は父上でこの前なんか勝手に見合い話まで引き受けかけて…。』
(王子ため息をつきながら通行人Aと通行人Bとすれ違う。)
王子『もっと俺のことはそっとしておいてほしいもんだよ。自分の相手は自分で決めるってのに。』
(王子、横たわっている美少年を見つける。)
王子『あれ、誰か寝てる。』
(王子、近寄って顔を覗き込む)
王子『…え、マジで?』
ナレーション(通りすがりの猫)『このとき王子は一目惚れをしてしまったのです。なぜかって?それは…』
王子『何この子?男の子?女の子?…めちゃくちゃ可愛いんですけど。』
ナレーション(通りすがりの猫)『その子は髪の毛が栗色をしたショートヘアでまつげが長く、他の部分も申し分ないほど綺麗な形をしており、左右対称に整った、それはそれは見事な顔立ちでした。』
王子『…でもなんでこの子こんなところで寝てるんだろう。』
屋上の木々達『知りたいかい?』(←三人声揃える)
王子『誰だ!?』
(王子振り向く)
王子『どこだ!?どこにいる!?』
屋上の木々達『あんたの目の前にいるさ。』(←三人声揃える)
王子『なっ…!木が喋った!』
屋上の木々達『あんた、その子がなんで眠ってるのか知りたいんだろう?』(←以下略)
王子『…あぁ。知りたい。教えてくれ。』
屋上の木々達『その子には姉が一人いる。その姉があんたと結婚するために自分より可愛いその子に呪いをかけた。』
王子『…なんでこの子の姉は俺と結婚するためにこの子に呪いをかけたんだ?』
屋上の木々達『姉はあんたが自分ではなく弟に惹かれるのではないかと恐れたんだ。何しろその子はこの国1番の美の持ち主と言われてるからな。』
王子『ちょ、ちょっと待ってくれ。今あんたら、この子のこと姉の弟っていったが…弟ってことはこの子、男なのか?』
屋上の木々達『あぁ、正真正銘男だ。――でもあんた男でもその子に…惚れたろ?』
王子『…っ―!』
(王子赤面する)
屋上の木々達『…図星のようだな。まぁ無理もない。』
王子『なぁ、どうやったらこの子を助けることができる?俺はこの子に惚れた。だから、この子を助けたい。』
(王子、仁王立ちで木々に言う)
屋上の木々達『…本当に、あんたはその子に惚れたんだな?』
王子『あぁ。』
屋上の木々達『その子の為なら命を捨てても構わないか?』
王子『もちろん。』
屋上の木々達『ならばいいだろう。助ける方法を教えてやる。助ける方法はただ一つ。その子の唇に接吻(せっぷん)するだけだ。』
王子『…接吻ってことはつまりキスしろってことか?』
屋上の木々達『そういうことだ。』
王子『わかった。』
(王子、美少年を上半身だけ起こし顔を近づけせっぷん…
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