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――キーンコーンカーン。

終わった………。

起立、礼をしてふぅと椅子に座る。
あの後、何度も襲ってきた眠気との闘いが刻まれたノートを眺め『ちゃんと睡眠取ろう』と反省。

「あ、ギン。」

「あー、眠かった眠かった。てか今もだわ。」

ふわぁああと大きいあくびをしながらギンが俺の机に突っ伏す。

「爆睡してやしたね。」

「気合いで起きろ馬鹿。」

トシがじろりと冷たい目でギンを睨んだ。いや、トシも違うことしてましたけど…。
まぁ俺も人のことは言えないか。


「あー、総悟ごめんよ。」



と、突然ギンが謝った。

「え、何がですかィ?」

「ちょっと今から話してくるわ。」

「え?」

誰と?と聞こうとしたら、今まで机に突っ伏してたギンがムクリと起き上がり、手を伸ばした。

―――パシッ。

「なぁ?」

ギンが掴んだもの、今たまたま机の横を通りかかったクラスメイトの男子が手に持ってた携帯電話。

「「え?」」

と、その男子と俺の声が重なった。

「いいよな?」

「な、何だよ坂田。」

「あっれー、言わないと分かんない?気付かれてないとでも思ってんの?」

みるみるうちにその男子生徒の顔が青ざめていく。
一方俺は何のことだか分からずはてなマークを浮かべるばかり。
トシもトシでいつものあまり愛想の良くない顔を更に悪くしたような顔だ。

「じゃあね、総悟。行ってくるわ。」

「へ、へぃ…。」


ただならぬギンからのオーラに気圧される。




そのまま二人は教室を出たまま、次の授業まで帰ってこなかった。


*****

―…何だったんだろう。

窓を雑巾で拭きながらうーんと唸る。

窓の雑巾拭き。これも軽音楽部設立の条件に進路指導部から課せられた仕事だ。(週に一度、校内掃除。)

3人でローテーションしてて、今週は俺が当番。

トシとギンは追試を受けに行ってるから、教室には俺一人だ。

―…携帯握ってたから……"めあど"とかかな?

俺は携帯を持ってないからそういうのはよく分からない。

―…あ、上のほう………。

ふと見上げたら、天井のほうに近い窓が汚れてる。なるべくキレイにしとかないと。


「よいしょ……っと。」

窓の縁に足を掛けて乗っかる。(ギンとトシが見たら即刻止めそうな行為だ。)

―…う……届かない。

ぐぐっと右手を伸ばし窓を拭こうとするがギリギリ届かない。

―…もちょっと…「総悟!」

「へ!?わわっ!!」

―――バッターン!!

派手な音を立てて地面に倒れた。あれ、でも痛くない……?…って!

「ト、トシ!?」

「痛…たっ…。」

びっくりした!!トシだ。

「…ったく何やってんだよ。危ないことすんな頼むから。」

「す、すいやせん……。って、それより!トシ怪我してやせんか!?大丈夫ですかィ!?」

今の状態。床に仰向けになったトシのお腹の上に俺が跨がってる。
窓から落ちる瞬間、どうやらトシが受け止めてくれたみたいだ。かなり痛かったはず。

「捻挫とかしてやせんか!?背骨折れてたり頭打ったり………。」

「飛躍しすぎだ。」

フッと笑われて一蹴される。

「別にあんな高いところやんなくていいだろ。」

俺の手に握りしめられた雑巾。

「うん……でも早く軽音楽部を認めてもらいたいから。少しでも"軽音楽部"のイメージを拭いたいんでさ。てっぺん祭も出たいし。」

そう言うとトシは目を丸くした。

「お前……それで怪我したら元も子もねーだろが。」

「………。」

「…まぁ、今日は俺も坂田も傍に居てやれなかったのもあるが…。悪いな、追試食らって。」

「あ!そうだ追試!どうだったんですかィ!?」

「多分セーフだ、心配すんな。…問題は坂田だけだな。」

「でもギンも昨日遅くまで勉強してたみたいだし…きっとギンなら大丈夫でさ!」

「あぁ……。」

ギンなら大丈夫。うん。
3人でてっぺん祭に出るんだ。

あ、てっぺん祭で思い出した。

「ね、ね、トシ!」

「ん?」

トシの腹の上で興奮気味に喋る。

「俺、今日古典の時間に考えたんだけど…曲に使えやせんかね、この体勢!」

「は?」



「『騎乗位』!」




(総悟ごっめーん。今追試終わった………どしたの?)
(あ、ギン。何かね、トシが鼻血出して気失って…。)
(……総悟、土方になんか言った?)
(いや、特には………。)


続く


*****

下ネタですいません。

3人は共学の学校なんで、クラスにはちゃんと女子もいます。





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