Page1



―……眠たい。

現在5時間目、古典。

出そうなあくびを必死に飲み込む。

―…さすがにやりすぎたな…。

昨日、ギンからてっぺん祭の話を聞き、帰ってすぐに曲作りに熱中してしまった。
多分3時間は楽譜とにらめっこしてたと思う。

…結局良いのは出来なかったんだけれども。(つい夜中のテンションで書いたもんだから、歌詞がセンチメンタル過ぎて…朝もう一度見たら恥ずかしくて死にそうだった。)

ごしごしと目をこする。

ふとギンを見ると、案の定爆睡していた。あぁ、また『これだから軽音楽部は!』と進路指導部に怒られまさ。

せめて授業だけでも真面目に受けやしょう、っていっつも言ってるのに。(自分も寝そうだけど。)


一方トシは、やはりと言うかちゃんと起きてる。
必死にノート書いてるな、偉いなぁと思ってたが、よくよく見ると古典のノートではなく日本史の問題集だった。

「………。」

俺の視線に気づいたらしく、振り返るトシ。

両手をあわせ『スマン』と謝るポーズをする。

……あぁ、また『これだから軽音……(以下略)。

ふぅ、と小さく息を吐く。
本当は分かってる。二人の寝不足の理由。

今日の放課後、赤点(40点以下)を取った人へ追試があるのだ。

その追試で合格すればこの先大丈夫なのだが、もしまた点数が悪かったら部活停止確実。
てっぺん祭に出られなくなるのも確実。

だから、昨日から二人は徹夜で勉強してる。

―…俺が寝るとき、まだ部屋に電気ついてたもんなぁ。

てっぺん祭のために。

こうやって、みんなで何かに没頭できるのって良いことだと思う。
部活やってて良かったなぁとつくづく感じる瞬間だ。

―…あ、この感じを曲に出来ないかな。


早速ノートの余白にささっと思い付いた歌詞を書き込む。
うん、音楽は良い。


―…学校、部活、帰りの寄り道、CDショップ…。


あれこれ連想して繋げていく。(授業なんか全然聞いてない。)

―…レコード、公園、ブランコ、箒…。

次第にまたもや眠気が襲ってきて、シャーペンを握る力が弱くなってきた。かろうじて読めるふにゃふにゃの字。
なんとか手のひらに力をこめようとするが、うまくできなくて視界がぼんやりしてくる。


―…管理作業員さん、下駄箱、机、ステンレス、こくば…、ネク……。
















「沖田!」





prev next



- 95/105 -




TOP
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -